スリーダブリューはローカル5G導入支援サービスの一環として、導入を検討している企業の用途に合わせて最適な製品を提案するコンサルティングを行っている。同様のサービスを行っている他社との違いは、知見を持っている無線機器の多さだという。「国内で流通するものは、すべてと言っていいくらい把握しています。最近ではメーカー自ら、開発中の段階から情報とともにサンプルを提供してくれるようになりました。これも偏に私たちの国内でのコンサル実績を表していると思います」と、植田敦代表取締役は話す。
スリーダブリュー 代表取締役 植田敦氏
その新たな選択肢として、スリーダブリューが自ら製品化したのが「FJSRS(For JAPAN Local 5G Specialized Radio System)Type-UN(タイプ・アン)」だ。1月に販売を開始した、この新タイプのローカル5G無線システム「FJSRS」の開発意図を、同氏は次のように説明する。
「現在ローカル5Gを導入している企業が直面しているのがネットワークシステムの“取り扱い習練”です。ネットワークや無線などの技術者がいない企業では、これらを外部委託したり、そもそも諦めてしまう企業もあります。この課題を何とかしたいと考えていました」
FJSRSの親機(gNodeB、左)と子機(UE、右)
ローカル5Gからフォーカスを外す 「目的」ではなく「手段」であるべきローカル5Gは、企業等が自社に最適化したネットワークを構築するための手段であるはずなのに、導入することが目的化してしまっている企業を多く目にする。その理由は、前述したような「5G部分での“息切れ”が原因です。5Gの導入部分で費用も人的リソースも食いつぶされて、センサーにしろアプリにしろ、その企業が独自で開発しなければいけない一番重要な部分に予算を含めたリソースが回っていない現状があります」と植田氏は指摘。「私たちはローカル5Gというシステムからのフォーカスを外してもらうためにこの機器を考えました」
FJSRSは、スタンドアローン(SA)方式に対応した、4.7GHz帯(Sub6)ローカル5G向けの無線装置だ(図表)。
図表 FJSRSの利用イメージ
「上り」「下り」合わせて約160Mbpsのデータ伝送能力を持つ。IP層での往復遅延時間は平均10msecで、低遅延を必要とするアプリケーションにも十分に対応が可能だ。5Gの実証実験で多くの採用実績を持つ国内メーカーへのODM(開発・製造委託)によって、スリーダブリューが製品化した。驚くべきはその価格とアイデアだ。