ソニーは2010年11月25日、電子書籍端末「Reader(リーダー)」を12月10日より発売すると発表した。
「音楽、映像、ゲームに次ぐ第4のエンターテインメントを展開する」――米ソニー・エレクトロニクスのシニア・バイス・プレジデント野口不二夫氏は、電子書籍事業に賭ける意気込みをこう語った。
ソニーマーケティング代表取締役社長の栗田伸樹氏(左)とソニー・エレクトロニクス シニア・バイス・プレジデントの野口不二夫氏(右) |
リーダーは米国をはじめ、英国やドイツなどすでに13カ国で発売されている。14番目となる日本市場に投入されるのは、5型の「Reader Pocket Edition」と6型の「Reader Touch Edition」の2機種。重さはそれぞれ約155g、約215gと軽量で、片手でも楽に操作できる。2.5GBの内蔵メモリにより、書籍約1400冊を保存することが可能。E Ink社の電子ペーパー「E Ink Pearl」を採用するとともに16階調のグレースケールにより、紙のような読みやすさを実現する。画面切り替え時以外は電力をほとんど必要としない電子ペーーパーの特長を活かし、一度の充電で約1万ページを連続して読めるという。価格は5型が2万円前後、6型が2万5000円前後となる見込み。
光学式タッチパネルを搭載し、ページめくりや文字入力が直感的に操作できる |
ソニーはリーダーの発売に合わせてオンラインブックストア「Reader Store(リーダーストア)」を立ち上げ、12月10日より配信サービスを開始する。
KDDI、凸版印刷、朝日新聞社との間で電子書籍配信会社「ブックリスタ」を今月4日に設立しており、同社から配信を受ける。サービス開始時点では、『悪人』(吉田修一:朝日新聞出版)、『Anego』(林真理子:小学館)など人気のある書籍を中心に約2万冊以上のラインナップを用意する。「数を追うのではなく、お客様が読みたいと思う本を揃えることが重要。ロングテールについては時間をかけて揃える」(野口氏)という。
米国では、タブレット型などの汎用端末の方が販売台数は多いが、コンテンツ利用率では書籍専用端末が上回るという |
ユーザーの趣味嗜好に合った作品を薦める「本棚」機能や、さまざまな視点から書籍を紹介する「特集記事」といった企画も予定している。また、決済はクレジットカードのほか、ソニー製品を購入すると貯まる「ソニーポイント」も利用できる。ユーザーはPCからリーダーストアにアクセスし、読みたい電子書籍を購入後、リーダーにダウンロードする。国内向けの2機種は無線LANや3Gなどの通信機能を内蔵していないが、今後、通信機能搭載モデルの投入も検討するという。
ソニーマーケティング代表取締役社長の栗田伸樹氏によると、「導入から約1年で販売台数は約30万台を目指している。電子書籍市場は2012年に100万台を超えると予想しており、ソニーはそのうちシェア50%を取りたい」としている。