シスコジャパンの2022年度戦略「日本にはまだまだ伸びしろがある」

シスコジャパンが2022年度の戦略を発表した。中川新社長が就任時に打ち出した4つの重点戦略を「3カ年成長戦略」へ発展させる。業界別ソリューションの強化などにより、日本企業・日本社会のデジタル化にいっそう貢献することで、シスコジャパンも成長させる戦略だ。

「もはやインフラだけの会社ではない。お客様のビジネスそのものを支援する会社なんだ」

シスコシステムズは11月4日、2022年度の事業戦略説明会を開催。代表執行役員社長の中川いち郎氏は、日本企業のデジタル変革や日本社会のデジタイゼーションに貢献することが、シスコジャパンの役割だと強調した。

この「日本企業のデジタル変革」と「日本社会のデジタイゼーション」に、「営業/サービスモデル変革」と「パートナーとの価値共創」を加えた4つは、中川氏が今年2月の社長就任会見で打ち出したシスコジャパンの重点戦略である。

1月の社長就任から10カ月が経過し、この戦略が「正しい方向であると確信を持つに至った」として、中川氏はこのフレームワークを発展させた2022年度から2024年度までの「3カ年成長戦略」を今回の事業戦略説明会で発表した。なお、シスコの2022年会計年度は8月からスタートしている。

国のデジタル化は「2.0」へ3カ年成長戦略では、4つの重点戦略それぞれに対して、さらに具体的なイニシアティブを3つずつ設定している。

シスコジャパンの2022年度からの3カ年成長戦略
シスコジャパンの2022年度からの3カ年成長戦略

日本企業のデジタル変革におけるイニシアティブの1つは「業界ソリューション」だ。

「日本企業のデジタル変革を支援するため、具体的なユースケースによる業界別アプローチを強化する。製造、金融、流通サービス、公共の4つを重点業界に定め、業界別のソリューションを整理し、事例化を推進する」と中川氏は説明した。業界別に専任の開発チームを置くという。

日本社会のデジタイゼーションにおいて、イニシアティブの1つとして設定したのは「CDA 2.0」だ。国のデジタル化を中長期で支援する「カントリーデジタイゼーションアクセラレーション(CDA)」にシスコはこれまでから取り組んでおり、「1000件以上のプロジェクトをグローバルで支援している」が、このCDAの取り組みを1.0から2.0へバージョンアップ。今後はカーボンニュートラルやスマートモビリティなどの支援にも注力するという。

国家的なデジタル化支援をアップデート
国家的なデジタル化支援をバージョンアップ

3つめの重点戦略、営業/サービスモデル変革のイニシアティブとしては、「カスタマーエクスペリエンス」が紹介された。

「導入はスタートであり、その後の利活用こそ、お客様に価値を提供できるもの」としたうえで、導入後の運用支援サービスを拡充すると中川氏は述べた。一例が「CX Customer Success」のセキュリティやデータセンター領域への拡大である。

CX Customer Successは、導入したソリューションの使いこなすためのトレーニングなどを提供するサービス。従来はシスコのインテントベースネットワークの中核「Cisco DNA Center」向けなどネットワーク中心だった。DNA Centerで約400台の工場ネットワーク機器のアップデータの自動化を実現したデンソーらが利用するなど、CX Customer Successは「順調に事例を増やしている」という。

最後の4つめのパートナーとの価値共創におけるイニシアティブとしては、「マネージドサービスパートナー」の取り組みが強調された。

サービスプロバイダー、すなわち通信事業者とのマネージドサービス共創のビジネスは過去2年間で2倍以上に成長。パートナーとのマネージドサービスの共創ビジネスをさらに拡大するため、このサービスプロバイダーとのマネージドサービス開発の専任チームをパートナー事業部門に移管し、例えば富士通、MKI、日立情報通信エンジニアリングなどサービスプロバイダー以外へ「横展開」しているという。

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