NTT東日本は6月25日、東京都調布市にあるNTT中央研修センタにおいて、「ローカル5G実証ハウス」の内覧会を開催した。
NTT東日本は2020年4月に、東京都農林水産振興財団、NTTアグリテクノロジーと、ローカル5Gを活用した最先端農業の実装に向けた連携協定を締結。その取り組みの一環として、同ハウス内において、遠隔操縦ロボットやスマートグラスなどを用いた遠隔営農指導の実証を本格始動する。
取り組みには2つの背景がある。
1つは東京都の農業における高齢化・人材不足の課題だ。農業従事者の4割が70歳以上、そのうち半数が後継者がいない状態だという。内覧会に出席した東京都 農林水産部長の山田則人氏は、「農業を稼げる産業にして、新規就農者を増やしたい。東京の農業の課題解決のために、民間企業と連携しながら東京の農業の振興を図っていきたい」と話した。
東京都 農林水産部長 山田則人氏
NTT東日本にも、担い手不足や技術伝承の観点から、農業をはじめとした一次産業に関する相談が多く寄せられているという。
「このプロジェクトでは、東京都農林総合研究センターの持つ高い農業技術・ノウハウと、ローカル5Gでなど最先端技術を組み合わせることで、担い手不足から引き起こされる日本の農業の課題解決にチャレンジしたい。日本の農業の課題を東京から解決に導きたい」とNTT東日本 執行役員 経営企画部 営業戦略推進室長の加藤成晴氏は述べた。
NTT東日本 執行役員 経営企画部 営業戦略推進室長 加藤成晴氏
NTTアグリテクノロジー 代表取締役社長の酒井大雅氏は、もう1つの背景をこう説明した。
「農業というと、生産者だけが注目されがちだが、実はそれを支える人達もいる。農業の有識者である、普及指導員や研究員、営農指導員と呼ばれる方々だ。しかしその人達も不足しており、複数の現場に行って直接指導することが、リソースやコスト、コロナ対策の観点から難しい。そうした貴重な人材をシェアする、効率的にアプローチできるような手段が必要だ」
NTTアグリテクノロジー 代表取締役社長 酒井大雅氏