ソフトバンク「ドローン無線中継システムを用いた遭難者位置特定システム」が「消防防災科学技術研究推進制度」の研究課題に採択

ソフトバンクは2021年4月19日、国立大学法人東京工業大学 工学院 藤井輝也研究室と共同で提案した「スマホを活用したドローン無線中継システムによる遭難者位置特定及び救助支援」が、消防庁の「消防防災科学技術研究推進制度」の令和3年度研究課題として採択されたと発表した。

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この研究課題は、近年の自然災害の増加、少子高齢化、社会資本の老朽化などを踏まえ、消防防災分野における課題解決や重要施策推進に資する研究の社会実装を目指し、消防本部や自治体などへの試験的配置や実証実験の実施を目的として採択された。研究の中核となる「ドローン無線中継システムを用いた遭難者位置特定システム」の試験的配置や実証実験の実施に当たっては、羊蹄山ろく消防組合消防本部と上伊那広域消防本部に研究支援者として協力を得る予定。研究開発は、今年度から2022(令和4)年度末までを予定している。

ソフトバンクと東京工業大学は2016年から、雪山や山岳地帯などでの行方不明者や遭難者および地震などにより土砂やがれきに埋まった要救助者の位置特定を目的に、「ドローン無線中継システム」を用いた遭難者位置特定の研究開発を進めてきた。同システムは、山岳地帯などスマホで通信できない圏外のエリアを「ドローン無線中継システム」で臨時にエリア化し、スマホに搭載されているGPS機能を活用し、雪崩や地震の被害で雪や土砂に埋まった遭難者が持つスマホの位置情報をモバイルネットワークを介して取得して捜索者に提供するというものだ。

同システムは、遠隔地から目視外での手動操縦を可能とする「ケータイドローン飛行制御システム」を搭載し、モバイルネットワークを介して遠隔地にいる操縦者が中継映像を見ながら手動操縦することができる。また、遠隔操縦と現地での目視による手動操縦の切り替えや、遠隔操縦中に自律飛行と手動操縦の切り替えを行えるなど、捜索のためにより柔軟で高度なドローンの運用を可能としている。2020年8月に、千葉県市原市勝間にある双葉電子勝間ラジコン飛行場において、同システムを使用した実証実験に成功した。

今後、同システムを基盤として、(1)電波が届きにくい土砂やがれきなどに深く埋まった遭難者の位置特定を可能とする無線中継システムの研究開発、(2)現地到着後1時間以内の運用開始を可能にするシステムの簡素化の研究開発、(3)車両1台で運搬可能にするための装置の小型化・軽量化の研究開発、(4)捜索現場での捜索関係者へのモバイルネットワークを提供するための研究開発、(5)ソフトバンク以外の携帯電話事業者との連携および運用の分担の検討などの社会実装を目的とした研究開発や検討を行う。

ソフトバンクと東京工業大学は、共同で同システムの実用化を目指すとともに、公共機関や自治体、企業と連携し、災害対策をはじめとしてドローンを活用した社会課題の解決に向けた研究をさらに進めていきたいとしている。

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