日立製作所は2020年10月23日、同社の中央研究所(東京都国分寺市)にある「協創の森」に商用局免許でのローカル5G実証環境を開設し、「エッジコンピューティング運用技術」の実証を行ったと発表した。
本環境は、社会インフラ分野におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)推進の仮説検証の場として稼働を開始した。今回実証を行ったエッジコンピューティング運用技術は、下記を特徴とする。
1つめは、機器制御や映像伝送などのアプリケーションごとに異なる通信要件と現場のネットワーク環境に応じて通信品質を保証する最適な通信方式を選択できること。2つめは、現場におけるエッジコンピューティングおよびネットワークの設計・配置を最適化できる点だ。これにより、現場のシステム環境に応じて最適な機能の配備と追加が容易に行えるとしている。
3つめは、コンピューティング性能に制約のある現場のエッジデバイスで高負荷なリアルタイム処理を行うためのエッジAI技術。エッジデバイスで動かすディープニューラルネットワークの認識精度を維持しつつ、不要な計算部分を削減するための学習を効率的に行うアルゴリズムを用いて推論モデルを自動的に軽量・圧縮生成することにより、これを実現した。
開設したローカル5G実証環境では、多品種少量生産の製造現場を模擬し、映像による作業者支援の検証を実施。複数系統の無線通信が混在する環境でも高信頼(誤り率0.0001%)かつ低遅延(遅延時間50ms以下)の通信環境が構築できたという。