シスコシステムズは2020年10月8日、2021年度の事業戦略説明会を開催した。シスコは8月から新しい会計年度に入っている。
デイヴ・ウェスト社長がまず振り返ったのが、シスコジャパンの2020年度の業績だ。シスコ本社は毎年、グローバルで最も高い収益を上げた国を「シスコ カントリー オブ ザ イヤー」として表彰しているが、シスコジャパンは2019年度に引き続き2年連続で獲得したという。
顧客やパートナーとの関係性の深化、日本のデジタイゼーションへの貢献、売上全体に占めるソフトウェアの割合が30%を超え、さらにその78%がサブスクリプションとリカーリングモデルへの移行がうまく進展していることなどを、ウェスト氏は業績好調の要因として挙げた。
(左下)シスコシステムズ 代表執行役員 社長のデイヴ・ウェスト氏、
(右上)代表執行役員 会長の鈴木和洋氏、
(右下)副社長 情報通信産業統括の中川いち朗氏
マーケット別にみると、シスコジャパンの売上拡大に最も貢献したのは、5Gへの投資が本格化している通信事業者向けだ。「昨年度はとても素晴らしい1年だったが、その牽引役だったのがサービスプロバイダー事業。最も大きな成長を遂げることができた」と副社長 情報通信産業統括の中川いち朗氏は話した。
6つの注力分野に戦略的パートナーと取り組むシスコジャパンでは昨年度からデジタル化を通して国の課題解決や経済成長に貢献する「カントリー デジタイゼーション」に取り組んでいるが、2021年度は「6つのイニシアティブを戦略的パートナーと進めている」と鈴木和洋会長は説明した。
その1つめが「トラベル、ツーリズム&トランスポーテーション」。東京都や京都府と街のデジタル化に取り組んでおり、例えば東京都からはスマートポール先行・試行設置の協力事業者に選定され、西新宿エリアで11月から実証実験を開始する。
「スマートポールには5GやWi-Fiが搭載され、デジタルサイネージで都市のいろいろな情報をインタラクティブに提供できる。また、人感センサーや環境センサーも備えており、人流データなども収集可能だ。都市の高度化、行政サービスの高度化を一緒に進めていきたい」と鈴木氏は語った。
東京都とのスマートポール実証実験の概要[画像をクリックで拡大]
2つめは「デジタルワークプレース」で、リコーの複合機とシスコのMerakiを組み合わせたソリューションを発表している。
3つめは「パブリックセーフティ」で、例えばNECとサプライチェーンセキュリティに関する取り組みを進めている。4つめはファナックなどと組む「インダストリー4.0」、5つめは「デジタルスクール」で戦略的パートナーとして奈良市を紹介した。
そして、6つめが昨年度最大の牽引役となった「5Gインフラストラクチャ」だ。