<特集>CPS/デジタルツインとエッジコンピューティングCPS/デジタルツインとは? 融合する現実世界と仮想空間でより良い未来

サイバー空間に現実世界を再現し、シミュレーションや分析を行うCPS/デジタルツインは、現実世界だけでは実現できないことを可能にする。最終段階で目指しているのは、現実世界の「自律運転・自律制御」だ。

現実世界をサイバー空間に再現する――。一昔前であれば荒唐無稽に思われたCPS(Cyber Physical System)やデジタルツイン(デジタルの双子)の実装が進んでいる。

CPS/デジタルツインとは、現実世界の多様なデータをセンサーネットワークなどで収集し、サイバー空間で定量的に分析。その結果を現実世界にフィードバックすることで、付加価値の創出などにつなげようというものだ(図表1)。

図表1 CPSのイメージ
図表1 CPSのイメージ

デジタルツインは、基本的にCPSとほぼ同義で用いられることが多い。しかし、CPSは現実世界とサイバー空間が一体となってより高度な社会システムの構築を実現すること、デジタルツインはサイバー空間に再現された現実世界というように、あえて両者を区別することもある。

CPSやデジタルツインという言葉は、2000年代半ばに米国で使われたのが始まりだ。

当初はサイバー空間に入力できるデータ量が限られていたため、現実世界をそのままサイバー空間に再現することは難しかった。それが近年、IoTの普及やネットワーク技術・コンピューティング技術などの進化により、大量のデータをリアルタイムかつ自動的に収集し、ネットワークを通じて即座にサイバー空間へ反映できるようになった。つまり、フィジカル空間とサイバー空間の同一性を高い解像度で保ち続けられるようになったことでCPS/デジタルツインの活用範囲は広がり、注目も高まっている。

日本では、2016年に策定された「第5期科学技術基本計画」において、目指すべき未来社会の姿として、「サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会」である「Society 5.0」が掲げられた。これで一躍、CPS/デジタルツインが知られるようになった。

月刊テレコミュニケーション2020年10月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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