WCPと日本通運が5Gを活用したスマート物流の実証実験を公開

物流業界は、トラックドライバーの人手不足や配送作業員の負荷増大などの課題を抱える。その解決策として、Wireless City Planningと日本通運は5Gを活用したスマート物流に取り組んでおり、実証実験を報道陣に公開した。

ソフトバンクグループのWireless City Planning(以下、WCP)と日本通運は2020年2月25日、東京都練馬区にある日本通運の江古田流通センターにおいて、5Gを活用したスマート物流の実証実験を報道陣に公開した。

この実証実験は、総務省「多数の端末からの同時接続要求を処理可能とする第5世代移動通信システムの技術的条件等に関する調査検討の請負」の一環として、江古田流通センターのほか奈良ロジスティクスセンター(奈良県大和郡山市)で1月下旬~2月下旬の予定で行われている。

実証実験のシステム構成

物流業界は、トラックドライバーの不足、配送作業員の負荷増大などの深刻な課題を抱える。また、集荷・配達時に発生する待ち時間や配送の多頻度化・小ロット化に伴い、営業用トラックの積載率は41%まで低下している。5Gの活用により物流の効率化や省力化を実現し、課題を解決しようというのが実験の目的だ。

物流の効率化には、物流拠点の自動化や幹線輸送の隊列走行など様々な方法がある。今回は、物流の“ファーストワンマイル”に相当する集荷を対象に、①積載状態の確認、②荷物の積み込みの自動判断に関する実証実験が披露された。

まず、積載状態を確認するため、トラック荷室内に光センサー技術「LiDAR」と重量センサーを設置。荷室の空き容量や荷物の重量データを可搬型基地局「おでかけ5G」を使ってトラックの運転手や遠隔にいる管理者に伝送した。

可搬型基地局「おでかけ5G」を使って大容量データを伝送する

LiDARが取得した点群データは大容量になるが、5G通信とMECサーバーを活用することでリアルタイムな伝送・解析が行え、管理者画面で積載状況を可視化できる。

トラックの荷室に設置された「LiDAR」

積載率をリアルタイムに把握することが可能になると、例えば新たに集荷する荷物が発生した場合、近くを走行しているトラックの中から積載率に余裕のあるトラックがルートを変更し荷物を集荷する「トラックと荷物のマッチング」が実現する。こうした自動マッチングの仕組みを用いることで、1カ月あたりの集荷作業時間が600分から45分に短縮されたという実験結果もあるという。

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