IIJでは、パブリックLTEとプライベートLTEの連携により、次のようなユースケースを想定している。
1つめが、災害時の避難場所やイベント・式典の会場、工事現場での利用だ。パブリックLTEの輻輳が予想される場合、プライベートLTEに通信を逃がすことで輻輳を回避できる。プライベートLTEの利用により、無線からバックホールなどのネットワークも閉域で接続することが可能なため、秘匿通信のやり取りも行える。
2つめが、オフィスや病院など特定の施設における内線やIoT通信としての利用だ。医療機器などに通信モジュールを取り付ければ、位置や稼働状況を把握することができる。また、LTEを使ったVoIPにより内線・外線を問わずシームレスな通話が行え、構内PHSからの置き換え需要も見込めるという。
3つめが、工場や倉庫など不感地帯のカバーとしての用途だ。建屋(バックホール)までWi-Fiを使えば、キャリア網に依存せずにネットワークを構築することができる。
中尾彰宏教授は「低コストや高信頼、超低遅延といった特徴を持つプライベートLTEと、広範囲に利用可能なパブリックLTEそれぞれの“いとこ取り”ができるのではないか。適材適所でコストを効率化し運用することが可能になる」と期待を語った。
実証実験は、2020年3月末までの予定。将来は、プライベートLTEの延長線上にあるローカル5Gと、パブリックLTEの発展系となるキャリアの5Gネットワークとの連携も視野に入れている。