UQコムが最大330Mbpsの「WiMAX 2」を紹介――2012年の商用化を視野

UQコミュニケーションズ(UQコム)は2010年9月29日、記者向けの事業説明会「UQコミュニケーションサロン」を開催。代表取締役社長の野坂章雄氏とネットワーク技術部長の要海敏和氏がWiMAX事業の現状と今後、そして次世代の「WiMAX 2」の概要などについて説明した。

代表取締役社長の野坂章雄氏 ネットワーク技術部長の要海敏和氏

「UQ WiMAX」の現状だが、利用者は9月末で33万加入になる見込みであり、ほぼ予定通りという。今後ドライブをかけて2010年度末(2011年3月)には80万加入を目指す。基地局数は8月12日に1万局を達成し、9月末で1万1000局に達する見込み。全国の主要都市はほぼカバーし、政令指定都市はカバー率90%を超えているという。さらに年度末には、1万5000局を目指す。

加入数の推移(クリックで拡大) 基地局数の推移(クリックで拡大)

デバイスはWi-FiルーターとWiMAXパソコンが主流に

利用デバイスの比率は、現在はデータ通信カードが圧倒的に多いが、5月のiPad登場以降、Wi-Fiルーターが伸びているという。UQコムは6月以降、Wi-Fiルーターのラインナップを「WiMAX Speed Wi-Fi」と総称して普及に努めており、冬商戦に向けた新商品群を、10月5日~9日に幕張メッセで開催される「CEATEC JAPAN 2010」で発表する。

下期はWi-Fiルーターとともに、WiMAXパソコンを伸ばす。同社はこの日、10月1日から「WiMAX PC バリューセット」を提供すると発表した。WiMAXパソコンで「WiMAX統合ポータルサイト」から「UQ Flat」か「UQ Step」を契約したユーザーが対象で、加入月およびその翌月は無料でサービスを利用できるほか、登録料の2835円を無料とする。また、UQ Stepを契約したユーザーは、最大2カ月間の無料期間終了後も、その先10カ月間は月額基本料金分の380円を割り引き、利用のない月は0円、利用の多い月でも最大4600円となる。野坂社長は、「当社のお客様は、使ってみるとWiMAXが便利であることを納得され、ほとんどが契約して下さるので、使っていただきやすいようにした」と説明した。

海外でも利用できる「WORLD WiMAX」も紹介。9月1日から米WiMAX事業者のClearwire社と提携して提供しているもので、国内でWiMAXパソコンでサービスを利用しているユーザーが、現地でClearwire社が提供する1日利用サービス「CLEAR Free Day Pass」に申し込めば、ホノルル、シアトル、シカゴなど全米62都市でWiMAXサービスを利用できる。

速度表示の違いは税込みと税抜き価格のようなもの

今回、野坂社長が特に強調したのが、高速化についてで、「WiMAXは高速化が大きな差別化要素だと思っている」と語った。イー・モバイルが今秋サービスを開始する予定のDC-HSDPAでのデータ通信サービスは、下り最大42Mbps(理論値)を謳っており、「(最大40MbpsのWiMAXは)負けているじゃないかと言われる」という。だが野坂社長は「税込み価格と税抜き価格を並べているようなもの」と反論。UQコムの40Mbpsは、エラー訂正を含めた64QAM 5/6の数値であり、イー・モバイルの42Mbpsはエラー訂正を含まない64QAM 6/6の数値というのだ。野坂社長は「実際の無線通信でエラー訂正が発生しないことはない。もしエラー訂正のない64QAM 6/6で比較すればWiMAXは48Mbpsとなり、DC-HSDPAを上回っている」と説明した。さらに帯域制限にも言及。「他社サービスと違って、WiMAXはデータ専用サービスなので制限はしておらず、今後も当面は制限を実施しない」と語った。

速度表示の差はエラー訂正の有無(クリックで拡大) エラー訂正なしで比較すればWiMAXのほうが高速(クリックで拡大)

「WiMAX 2」のフィールド実験は2011年3月を予定

UQコムは、CEATEC JAPAN 2010で「WiMAX 2」を発表する。WiMAX 2はWiMAX(IEEE802.16e)を高速化させた規格「IEEE802.16m」のことで、理論値で下り最大330Mbps、上り最大112Mbpsを実現している。野坂社長は「来年3月にフィールド実験を開始し、2012年には実用化したい」という意向を示した。WiMAX 2については要海部長も説明。「現行のWiMAXは時速120kmでも利用でき、我々技術陣は200kmまでは可能と思っているが、WiMAX 2では時速350kmでの通信が可能になる」という。さらに、現行WiMAXとの互換性もあるので、WiMAX 2になってもサービスが保障されることなどをアピールした。

WiMAXは次世代の「WiMAX 2」へ(クリックで拡大) 「WiMAX 2」の概要(クリックで拡大)

なお、CEATECでは、実際に電波を飛ばすことはできないが、同社のブースで330Mbpsの世界を体感できる公開デモを実施する予定だ。

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