――ネットワンの業績が好調です。2018年3月期の営業利益は前期比43.4%増、2019年3月期の第1四半期も営業利益は前年同期比3.6倍と大幅に伸びています。
荒井 契機となったのは、マイナンバーです。マイナンバーの導入にあたってセキュリティ強靭化の補正予算が付いたことで、自治体の案件が走り出しました。
インターネットを分離して、セキュリティを強化しながらネットワークを使っていける我々のソリューションがフィットし、数多くの自治体に採用されたのです。
そして、これをトリガーに、自治体のデータセンター/クラウドの構築・運用の案件も進んでいきました。
――「クラウドシステム with セキュリティ」という言い方を御社はしていますが、クラウド基盤にセキュリティ対策を組み合わせたソリューションですね。
荒井 エンタープライズについても、自治体向けに展開してきたこのソリューションがフィットしました。エンタープライズでは、グループ企業のシステム統合や働き方改革などの要望が最近多くなっていますが、スムーズに横展開できる環境になっており、数字が上がっています。
――マーケット別の売上高比率を見ますと、エンタープライズとパブリックがともに31%と大きな割合を占めるまで成長しています。他方、かつて50%超あった通信事業者の売上比率は19%となっています。
荒井 当社の今があるのは、テレコムキャリアのおかげです。インターネットの構築に携わり、フレッツや4G/LTEなど大きな案件をやらせていただくなかで、企業規模を大きくしてきました。
ただ、テレコムキャリアの投資抑制を受けて、我々も生きる道を考える必要がありました。
そこで、仮想化などネットワークレイヤの少し上にフォーカスし、さらにセキュリティの要素を加えるというソリューションの開発を進め、現在に至ります。
最近はクラウド基盤の構築などを中心にテレコムキャリアのお手伝いをしており、新サービスの創出などで貢献していきたいと考えています。実際そうしたビジネスが近ごろ増えてきており、これまでお世話になった恩返しをしたいと思っています。
――業績の話に戻りますが、売上と比べて、営業利益の伸びの方が格段に大きいのが目立ちます。
荒井 エンタープライズやパブリックの案件は、テレコムキャリアの案件よりも金額が小さく、手が掛かります。そこで「ソリューション」という形にして横展開することで生産性を高め、利益率を高めようと取り組んできました。それが、良いサイクルに入ってきたのだと思っています。