「5G時代にはパートナーとともに、いろいろなサービスを協創し、新たなビジネスを創り出していくことが重要になる」――。NTTドコモ 代表取締役社長の吉澤和弘氏は、講演の冒頭でこう述べ、同社の5Gへの取り組みを説明した。
吉澤氏は、まずドコモが5Gのプロモーションに用いている「HERE COMES 5G」のロゴを紹介。その中の「JAPAN 2020」の文字を「実際の商用化を2020年にやろうというという我々の意志の現れ」と説明した。「場合によっては少し前にプレサービスのような形でエリアを限定してやることも考えていきたい」と意欲を見せた。
NTTドコモ 代表取締役社長 吉澤和弘氏
さらに、サーキットでの時速300kmでのハンドオーバー実験や海上でのウインドサーフィンの競技映像を5Gで4K画質のパブリックビューに実況中継するなどの技術開発の具体的な取り組みや、5Gに用いられるC-RAN構成における基地局制御装置とアンテナ・無線機間のインターフェース仕様のオープン化により、異なるベンダーの機器間でも接続ができる環境の整備などを進めるORAN Allianceの活動などを紹介した。
そのうえで、吉澤社長は冒頭の発言にあるパートナーとの協創戦略について説明。2月から展開している「ドコモ5Gオープンパートナープログラム」に、すでに1300超の企業・団体が参加を表明していると明かした。昨年春から実施しているパートナーとの共同実験「5Gトライアルサイト」では、新サービスの創出に向けた取り組みを15社と進めているという。
NTTドコモのサービス協創の取り組み
パートナー企業とのサービス開発の取り組みは多岐にわたるが、セッションでは①新日鉄住金ソリューションズと共同で取り組んでいる「人型ロボット」による遠隔制御システムと、②コマツと共同で開発を進めている「建設機械」の遠隔操作がビデオを交えて詳しく説明された。
①については、有毒ガスが発生した事故現場での復旧作業での活用するデモが紹介されたが、将来的には工場や物流倉庫などの作業効率化でも活用が期待されているという。
②の建機の遠隔操縦では、神奈川県平塚市のコマツの実験フィールドと通信回線で結ばれた操作室から5枚の2K画質のディスプレイの映像を見ながら操作を行うデモが紹介された。吉澤氏は「5Gは人手不足問題の解決にも寄与できる」と強調した。
このほか、和歌山県立医科大学などとの遠隔診療の実験や、2018年内に実施が計画されている車両とあらゆるものをつなぐ「セルラーV2X」のトライアル、自動車ビッグデータの集約・活用のために設立されたAECC(Automotive Edge Computing Consortium)などの取り組みが紹介された。