KDDIは2010年9月10日、12月1日付けで代表取締役執行役員専務の田中孝司氏が代表取締役社長に就任する人事を発表した。小野寺正代表取締役社長兼会長は、代表権のある会長職に専念する。
新社長に就任する田中孝司専務(右)と小野寺正社長兼会長 |
田中新社長は、主にソリューション事業を担当してきており、子会社のUQコミュニケーションズの社長としても会社立ち上げ時から手腕を振るった。現在はソリューション事業本部、コンシューマ事業本部、商品開発統括本部を担当し、KDDIの営業部門全体を統括している。
小野寺社長は、この時期に社長交代を決めた理由について、「私の社長在任が10年目となったので、これを1つの節目と考えた。また、KDDIは10月1日で発足10周年を迎えるので、その前に次期社長を決定しておこうと思った」と説明した。田中新社長の就任時期を12月1日としたのは、「来年度のKDDIグループの経営方針を新社長の下で決定してやっていくことが望ましいと考えた」と語った。
社長就任については7月末に伝えたという。田中専務を選んだ理由については、「いくつかあるが、一番大きな理由は、彼が今まで経験してきたことが、今後のKDDIの発展のために必要不可欠だということ。競争相手が変わっていくなかで、今までソリューション事業で築いてきた多くのパートナーとの関係や、UQコムを立ち上げる時に株主を取りまとめた力などを発揮してもらえば、私がやれなかったこともやってもらえるだろうと思う」と語った。また、「彼は関西育ちの明るい性格なので、会社を引っ張っていく意味でもよいのではないか」とも付け加えた。
田中新社長は、「所信表明は12月の就任以降に述べさせていただく」と前置きしたうえで、「これまでの10年は、通信事業者間の競争だった。だが昨今は新しいプレイヤーが参入し、競争の形が大きく変化した」と分析。「私はそのような競争の変化に対応できる新たなKDDIを作っていきたい。また、お客様に応える新しいサービスを提供することによって、KDDIグループの持続的発展に尽くしていきたい」と抱負を述べた。
また、KDDIの課題について聞かれた田中新社長は、「環境の変化に即応できていなかったと思う」と分析し、スマートフォンへの着手が遅れたことと、固定とモバイル両方のネットワークを持っている優位性を活かし切れていない点を挙げた。そのうえで「(16社が統合してできた)当社は、多様な人物が集まった会社であり、力はあると確信している。私がやるべきことはまず、戦略を明確にすること。そして戦略を実行するうえで、多様な人物のベクトルを合わせることだ」と語った。さらに、「現在“2010-2020年ビジョン”を今策定中であり、当社10周年のタイミングで発表できるだろう」と述べた。