ブイキューブ間下社長「Web会議市場拡大を牽引、目指すはアジアNo.1」

景気低迷を追い風に拡大するWeb会議市場。出張費削減だけでなく業務効率化、ワークスタイル変革の効果にも注目が集まっている。国内市場でシェアトップを誇るブイキューブ間下社長に今後の展望、アジア開拓への意気込みを聞いた。

――Web会議やテレビ会議によるビジュアルコミュニケーションを活用する企業が増え、市場も順調に成長しています。

間下 3つの追い風がありました。

1つは、ムダな移動を減らすことがCO2排出削減につながるというエコの観点。そして、やはり大きかったのは、景気後退によって多くの企業が出張費を削減したことです。「動かずに仕事をしなさい」という状況は、今でも続いています。

遠隔で仕事をするにも、日本には米国のように電話会議で仕事を進めるという文化がありません。フェイス・ツー・フェイスのコミュニケーションが必須です。

その場合にまず浮かぶのはテレビ会議システムでしょうが、企業の業績も悪化している中で新規投資をするのは難しい。サービスとして使えるWeb会議に注目が集まるのは当然でした。

――リーマンショック以降あらゆる業界が苦境に陥るなか、ビジュアルコミュニケーション市場は、まさにその状況がチャンスになりました。

間下 もう1つ、パンデミックという要素もあります。新型インフルエンザの流行で、事業継続管理(BCM)に企業の目が向けられました。事業所間の移動ができなくなったり、在宅勤務にせざるを得なくなったときにどうするのか。そういった観点でも、Web会議が大変有効なツールだという理解が広まりました。

また、その影響で労働環境の改善のために在宅勤務を活用していこうという機運も高まりましたね。

――経費削減や労働環境の改善など、Web会議は最近の企業の方向性に合致していると言えますね。

間下 ワークライフバランスという考え方においても、グローバル化への対応においても、Web会議は重要なツールとして認識されています。

実際に、昨年の問い合わせの数は一昨年の10倍に増えました。今年はさらにその1.5倍です。

――実績はどうでしょう。現在の導入社数は。

間下 当社の累積の導入社数は、OEMを除いて1500社です。増加のペースは急激に上がっていますね。今年は「年間で1000社増」とまではいきませんが、数百社台の後半は確実で、それくらいの勢いがあります。

最近の傾向としては、官公庁や独立行政法人のお客様が増えていますね。これも、Web会議の認知度向上に影響していると思います。

月刊テレコミュニケーション2010年8月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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間下直晃(ました・なおあき)氏

1977年12月、東京生まれ。2000年3月慶應義塾大学理工学部卒業、02年3月慶応義塾大学大学院理工学研究科開放環境科学専攻修了。大学在学中の1998年10月にブイキューブインターネットを設立し、同社CEOに就任。02年に学校法人慶應義塾とTLO(技術移転機構)を利用して資本提携。03年のV-Cube USA,Inc.(米ロサンゼルス)の設立、子会社化や吸収合併などを経て、06年4月にブイキューブに社名変更し、同社CEOに就任。現在に至る

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