あらゆるヒトとモノがネットワークにつながるIoT時代。このIoT時代を象徴する、新しい経済モデルと言えるのが「シェアリングエコノミー」だ。今このシェアリングエコノミーの推進に、日本政府が本気で取り組み始めている。政府は今年1月、内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室内に「シェアリングエコノミー促進室」を設置した。
「社会課題解決の担い手は、これまで主に行政だった。しかし、シェアリングエコノミーによって、民間の力、特に若者の知見を生かして、日本の社会課題を解決できる――。そんな新しい社会デザインを実現できるのではないか」
シェアリングエコノミー促進室の松田昇剛企画官はこう意気込む。
内閣官房 情報通信技術(IT)総合戦略室 シェアリングエコノミー促進室 企画官 松田昇剛氏
政府がシェアリングエコノミーの推進に力を入れる理由はいくつもある。
1つは、一億総活躍社会の実現だ。「シェアリングエコノミーの仕組みによって、今まで活用されてこなかった個人の資産や能力を市場化することは、個人の所得増大につながる」(松田氏)。兼業しやすくなることで、働き方改革が進む可能性もある。
日本の生産性向上にも寄与する。遊休資産や個人の余った時間など、社会に偏在する「未使用の価値=無駄」をシェアリングエコノミーによって有効活用できるからだ。
さらに、この波に乗り遅れれば、国際競争から取り残されるという危機感もある。企業価値が10億ドル以上の未上場ベンチャーを「ユニコーン企業」と呼ぶが、世界のユニコーン企業トップ10のうち、Uber、Airbnbなど実に4社がシェア事業者だ。「世界中で新しいシェアサービスが続々と生み出されており、まさに今、最も熱い領域だ」と松田氏は指摘する。