ICT業界 未来シナリオ2017SD-WANは確実に浸透する!――キャリアは「競合」ではなく「主役」に

国内企業からの関心も非常に高いSD-WAN。当初は通信事業者の既存サービスの脅威になると目されたが、むしろ通信事業者こそがSD-WAN市場の主役として成長を牽引していきそうだ。

SD-WANを取り込むキャリアさて、SD-WAN市場はこれまでViptelaやVelocloudといった新興ソフトウェアベンダーが中心だったが、2017年以降はネットワーク機器ベンダーや通信事業者も含め多彩な顔ぶれによる競争とエコシステムの構築が進む(図表2)。

図表2 主なSD-WANの提供ベンダー
図表2 主なSD-WANの提供ベンダー

軸となるプレイヤーはやはり通信事業者だ。ベライゾン、AT&T、BT、オレンジ、シンガポールテレコム等がSD-WANの提供を始めており、2017年はWANサービスの主軸に据えてくる。NTTコミュニケーションズも2017年にSD-WANの提供を予定している。

ベンダーと通信事業者の提携も進んでいる。ベライゾンはViptelaとシスコシステムズ、BTはシスコとNuageNetworks、シンガポールテレコムはViptelaと組んでおり、AT&Tとオレンジ、NTTコムは自社開発をベースとしながら、ベンダー製品の機能も組み込もうとしている。

この動きは、他の通信事業者にも広がっていくはずだ。

既存サービスと競合するSD-WANを通信事業者が取り込む狙いは、アンダーレイネットワークとSD-WANサービスの両方をユーザーに使ってもらい、その運用管理を行うマネージドサービスを合わせて提供することにある。単純な“囲い込み”にも見えるが、長期的視点に立った戦略だと話すのはIDC Japanの小野氏だ。

海外に拠点を展開し、高価な国際MPLS回線を利用する多国籍企業がまずはSD-WANのターゲットになるが、そうしたユーザーが使う自社と海外キャリアのネットワークの上に「SDWANでオーバーレイネットワークをかぶせて、全体の管理をアウトソーシングしてもらう。SD-WANは、WANの運用管理に新たな競争をもたらす」(同氏)。

月刊テレコミュニケーション2017年1月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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