ICT業界 未来シナリオ2017SD-WANは確実に浸透する!――キャリアは「競合」ではなく「主役」に

国内企業からの関心も非常に高いSD-WAN。当初は通信事業者の既存サービスの脅威になると目されたが、むしろ通信事業者こそがSD-WAN市場の主役として成長を牽引していきそうだ。

国内でのSD-WANの浸透はゆっくり?ただし、SD-WANの普及スピードについては、「海外に比べて遅い」という見方が大勢を占める。

第1の要因は、SD-WANを導入してもコスト効果が出にくい点にある。

SD-WANに対してユーザーが最も期待するのは、回線選択の自由度が増し、高価なMPLS網から安価なインターネットへ移行しやすくなることだ。北米ではこれに着目した企業がSD-WANを導入した。

だが、日本はアクセス回線にブロードバンド回線を使うベストエフォートで安価なIP-VPN等が充実しており、既存サービスも十分に低価格化している。そのため、SD-WANを導入してもコストダウンにつながり難いのだ。

池田氏は、「コストを下げるのではなく、今後トラフィックが増大してもインターネットを上手く使ってコストが上がらないようにするという考え方でSD-WANを使うべき」と指摘する。

2つ目の要因は、導入に伴って既存WANの構成変更が生じること。日本企業は特に時間をかけてネットワークの変更を進める傾向がある。「ネットワークの見直しは多くのITリソースにインパクトがあるので、容易には進められない。慎重な展開を進めるのではないか」(池田氏)。

以上のことから、2017年はまず検討・検証が活発に行われ、いくつかの導入事例が出て来るといった程度の静かな立ち上がりとなりそうだ。

月刊テレコミュニケーション2017年1月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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