2016年のICT業界、最大の流行語の1つとなった「デジタルトランスフォーメーション(DX)」。このデジタルトランスフォーメーションは2017年も引き続き、最重要キーワードの1つであり続ける。
IDC Japanが発表した「国内IT市場 10大予測」の1つは、「産業間のエコシステム連携によって、第3のプラットフォーム上にDXエコノミーが萌芽する」だ。現在、デジタルトランスフォーメーションによる変革が様々な産業で起こっているが、こうしたデジタルトランスフォーメーションの異業種間での連携が始まるという。
「例えば、医療用のセンサーが衣料メーカーと結びつき、下着の生地に入って脈拍が分かるなど、異なる産業間で連携が起きて、それがマクロ経済に影響を及ぼす」とIDC Japan リサーチバイスプレジデントの中村智明氏は話した。
興味深いのは、こうした産業間のエコシステム連携の延長線上に、「第4のプラットフォーム」の先行事例が姿を現すとも予測していることだ。
IDCが提唱する「第3のプラットフォーム」についてはよく知られている。モバイル、ソーシャル、ビッグデータ、クラウドの4要素で構成される情報基盤が第3のプラットフォームだ。なお、第2のプラットフォームは、クライアント/サーバーシステムを中心とする情報基盤のことである。
これら従来のプラットフォームに対して、第4のプラットフォームとは「ITが人体に入り込む。生命体との密結合だ」(中村氏)。細胞レベルでデジタル技術を人体に応用させていく「AH(Augmented Humanity)」の開発事例が2017年に紹介され始めると見ているという。
例えば、すでに米DARPAによる、人体埋め込み型のデジタルと神経系の間の広帯域通信インターフェースの開発プロジェクトなどが存在している。「まさにSFみたいな話が、夢物語ではなくなってくる」(中村氏)
第3のプラットフォームが“2年前倒し”で肩を並べる第4のプラットフォームへの足音が近づくなか、第3のプラットフォームへのシフトも加速する。
IDC Japanは、いよいよ「第3のプラットフォームへのICT支出が第2のプラットフォームの支出に並ぶ」と予測している。
2017年の国内ICT市場は前年比マイナス0.6%とほぼ横ばいの予想だが、第3のプラットフォームだけは成長し、第2のプラットフォームの規模に肩を並べる。
IDC Japanは昨年、第3のプラットフォームが肩を並べるのは2019年と予測しており、「2年前倒し」(中村氏)での実現となる。