ロボット活用で生産性を2倍に!――東京電力が技術戦略説明会を開催

東京電力は2016年10月12日、技術戦略の説明会を開催し、事業のデジタライゼーションを進める全社戦略のもと、ロボットやAI、IoTを活用して、生産性倍増を目標に技術開発を進めていくと明らかにした。

東京電力は、今年から燃料・火力発電事業の「フュエル&パワー」、送配電事業の「パワーグリッド」、電気小売事業の「エナジーパートナー」の3社に分社化している。研究開発を担当する「経営技術戦略研究所」は昨年設置され、グループの経営戦略・技術戦略に関する調査・研究をはじめ、エネルギー政策に関する分析・提言なども幅広く行っている。

経営技術戦略研究所長を務める、東京電力ホールデングス常務執行役の岡本浩氏は、「発電設備から送配電設備を経て、お客様に送り届ける3領域の連携をとりながら、抜本的なデジタル化を進めていく」と方向性を述べたうえで、IoT、AI、ビッグデータなどの技術を積極的に活用し、業務の効率化を進めるとともに新たな顧客価値を作り出していくと述べた。

そして、「ロボットやAI、IoTなどの新しい技術を活用することで生産性を2倍に高めたい」と目標を明らかにした。

東京電力ホールデングス常務執行役の岡本浩氏

原発ロボットを公開技術戦略説明会では、取り組みの幾つかが紹介された。

1つは「スマートフォンロボット」。事故後の福島原発において現場調査に使われたものと同タイプで、がれきや段差を乗り越えて、狭隘部での現場状況を撮影、報告する。Wi-Fiでコントロールしており、放射線量が高いエリアでも社員の操作で的確に動く。

スマートフォンロボット

他にも、福島原発での事故対策用に、配管点検ロボットや高所調査用ロボットなど、多様なロボットが次々と開発されている。

原子力向けロボットの開発実績

また、送変電分野でも、ICTやロボット技術を活用した業務省力化や設備管理の開発が進んでいる。

特に送電線を支える鉄塔の維持・メンテナンス作業など、電力土木設備の点検は膨大な労力と安全管理が必要となるが、この領域でロボットやAI技術を活用する取り組みも紹介された。

鋼管内部の金属腐食部分を判定するには、人間の目視だと限界がある。しかし、内視鏡画像を機械学習で自動判定するのは実用可能レベルに達しており、劣化判定の自動化や効率化を進めていくという。それにより、これまで5~6日かかっていた鉄塔の点検作業が、1~2日に短縮できるという。

また、実験中のスマートハウスでは、電力マネジメントや朝を快適に迎えるためのサービスの開発状況が公開された。電気自動車の充電、蓄電などの実験も進められているという。

実験中のスマートハウスでは、電気自動車を充電・蓄電する実験も行われている

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