北米を中心に、クラウド事業者や通信事業者がホワイトボックススイッチ(White Box Switch)を採用する動きが進んでいる。
ホワイトボックススイッチとは、ネットワークOSやアプリケーションを搭載していないスイッチのことだ。
従来のネットワーク機器は、ソフトウェアとハードウェアが一体として提供されてきた。そのため、ユーザーが勝手にソフトウェア機能を追加することはできなかった。これに対しホワイトボックススイッチは、ハードとソフトが分離されており、必要な機能を持つOS/ソフトをユーザーが選んで搭載したり、追加したり、入れ替えることができる(図表1)。サーバーと同じように、ハード/ソフトの自由な組み合わせが可能になるのだ。
図表1 従来型スイッチとホワイトボックススイッチの比較 |
このホワイトボックススイッチは具体的にどのように使えるのか。また、そのメリットとデメリットは何か。それを理解するにはまず、ホワイトボックススイッチが登場した背景を押さえると分かりやすい。
なお、“白い箱”の呼び名は、シスコシステムズをはじめとするネットワーク機器ベンダーが提供する従来型スイッチ(ブラックボックスと呼ばれる)と区別したものだ。OS等が入っていないまっさらな状態のコンピュータを意味する“ベアメタル”スイッチとも呼ばれるが、本稿ではホワイトボックススイッチと総称することにする。
超巨大データセンターのニーズが発端ホワイトボックススイッチ登場の背景として「ネットワークのコモディティ化」を指摘するのは、NTTソフトウェアイノベーションセンタの石田渉氏(分散処理基盤技術プロジェクト)だ。ネットワークにおけるオープンソース活用を主な研究テーマとする同氏は、ホワイトボックススイッチを巡るこれまでの動きについて次のように語る。
「GoogleやFacebook、Microsoft等のOTT(Over the Top)がネットワーク機器をオープン化し、自分たちでソフトを組み立てて好きなように使うということは以前から行われてきた。その動きがやっと一般の人にもホワイトボックススイッチとして明らかになってきた。通信事業者もこの流れに取り残されないよう、ネットワークのオープン化に向けて動いている」