医療・教育現場にも拡大DoubleもKubiも、すでにさまざまな場面で活用されている。以下、米国での実際の使用例と国内での導入状況をみながら、その可能性と普及への課題を考えていこう。
Doubleは、LinkedInやGEなど多くの企業がオフィス・工場でのコミュニケーションに用いているほか、モンタナ州立大学をはじめとする大学での利用例も多い。他の大学に属する学生や教授同士がDoubleを使ってゼミをしたり、研究成果を報告しあうといった使い方が広がっている。
Revolve Roboticsの「Kubi」(“ 首”の意味)。台座とiPadを装着するスタンドで構成され、簡単に分解して持ち運べる。水平方向に300度回転し、前後方向には90度傾くため、人間が顔を巡らすように向きを変えたり、うなずいたりできる。左の画面に映っているのは、ヨコブン 代表取締役の茂木雄二郎氏 |
Kubiも、医療や教育・研修、会議、面接などで使われている。
例えば、定期的に州の医療センターを訪問してコンサルティングを行っていた専門医が、Kubiを使って遠隔から助言を行うようにしたことで、悪天候で訪問をキャンセルすることが無くなった。また、重病にかかり病院のベッドから出られない子供が、小学校の教室に置いたKubiを使って授業を受けたり、友達とコミュニケーションする例もある。車輪のついたラックに電源と一緒にKubiを乗せて同じクラスの生徒が動かしているそうだ。両親は家庭教師を雇う必要がなくなり、負担が大きく減ったという。
そのほか、遠隔会議や遠隔面接、テレワークといった、これまでビデオ会議が用いられてきた場でも活躍している。利用する人はPCとWebブラウザさえあればよく、特別な準備が必要ない手軽さが受けているようだ。
国内でも、こうした用途で使おうとする企業が増えてきている。KubiとDoubleを販売するヨコブン(横浜市)の代表取締役、茂木雄二郎氏は「Kubiを在宅勤務ソリューションとして試したいと購入する企業が昨年から増えてきている」と話す。ビデオ会議を開発・販売する国内大手メーカーが自社のビデオ会議と連携させるための開発・検証用に購入しているほか、介護や見守り、見回りロボットとしての利用を検討する例もあるという。