<連載>ネットワーク未来予想図2026クロサカタツヤ氏に聞くAIバブルと崩壊後「日本はフィジカルAIで突っ走れ」

AIバブルは弾けるのか? 『AIバブルの不都合な真実』の著者で、通信業界への深い知見も持つクロサカタツヤ氏に、AIバブルとその崩壊後について聞いた。

企 代表取締役 クロサカタツヤ氏

企 代表取締役 クロサカタツヤ氏

――2025年9月に出された著書『AIバブルの不都合な真実』では、「現在はAIバブル」と警鐘を鳴らすとともに、AIバブル崩壊後のシナリオや生存戦略などについても説かれています。本の刊行から数カ月を経た今、AIバブルへの警戒感はさらに高まっています。

クロサカ 私の本が出版された頃から「循環取引になっているのではないか」という指摘も出始めました。ここで重要なのは、エヌビディアへ資金が流れる構造になっていることです。つまり今、AIのビジネスモデルを確立しているのはエヌビディアだけです。OpenAIもグーグルもAIではまだ儲けていません。

にもかかわらず、AIへの巨大な投資が正当化され続けているのは、幻想を生み出す何らかのナラティブ(物語)があるからです。私の考えでは、そのナラティブの源泉はシンギュラリティです。

レイ・カーツワイルはシンギュラリティの実現時期を2045年と予測しました。「いつかAIに人間は追い越される」と信じ込んでいるがゆえに、投資できる資金があるのであれば、どんどん投資してシンギュラリティに早く到達しようというわけです。しかし、この業界で30年仕事し、いくつも大きなバブルを経験してきた私からいえば「またか」と。現在の状況はバブルに他なりません。

――バブルはいずれ崩壊せざるを得ませんが、どういう形で崩壊しますか。

クロサカ 個別銘柄で見れば、バブルはすでに崩壊し始めているともいえます。ソフトバンクグループの株価は一時、ピークの半値近くまで下落しました。一方で、Gemini 3を発表したグーグルの親会社であるアルファベットの株価は上昇するという現象が同時に起きています。

バブルというと、日本人は不動産バブルのように市場全体が総崩れになる事態を想起しますが、今回のAIバブルはなかなか複雑です。あるAI銘柄の株価が上がって崩れて、別のAI銘柄がテイクオーバーするという構図になっています。

その意味では、バスケット全体ではバブルは崩れていないという見方もできるかと思います。しかし、マグニフィセント・セブンにパランティア・テクノロジーズなどを加えた10~20くらいの主要AI銘柄が、これからも株式市場全体を引っ張り続けられるかというと、私は「続かない」と思います。市場全体を俯瞰して、その勢いが続かなくなったときが、多くの人が「AI相場は終わったんだ」と感じる瞬間になるでしょう。株価についていえば、かなり大きな調整が一度は起こると思います。

クロサカタツヤ氏

企 代表取締役 。三菱総合研究所を経て、2008年に株式会社 企を設立。通信・放送・デジタル分野の経営コンサルティングを行うほか、総務省、経済産業省、OECDなどの政府委員を務める。慶應義塾大学大学院 特任准教授、同大学 X Dignity センター副代表、米ジョージタウン大学客員研究員を兼務

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