[特集]ロボット×IoTが世界を変える 第2回「自分の分身をどこでも派遣」、テレプレゼンスロボットが変える企業コミュニケーションの未来

離れたオフィス等に置かれたロボットにログインし、自らの分身として使う――。そんな“コピーロボット”や“分身の術”を思い起こさせるテレプレゼンスロボットがジワジワと普及し始めている。

遠くのお店に“バーチャル来店”このように国内でも徐々に普及の兆しがでてきている一方、課題もある。特にDoubleは“移動できる”という特徴を存分に発揮するには制約があるのが現状だ。

茂木氏は「Doubleは相当にバリアフリーな環境でないと使えない。転倒の恐れもあり、現時点では、近くで誰かが補助できる環境に限られる」と話す。特に日本は米国と比べてオフィスが狭く、段差や階の移動も多い。学校や介護施設も状況は同じだ。ヨコブンにも一般企業のほか、介護や教育の現場で使いたいとの問い合わせは寄せられるが、現状ではKubiを使うケースが多いという。

また、Kubiについても、Webブラウザやアプリから簡単に操作できるとはいえ「それなりにPCやスマホの知識が必要。もっと誰でも使えるように簡便化する必要がある」と茂木氏は課題を口にする。したがって、ITリテラシーの高い先進的な企業や、常にサポートが得られる環境でまず普及が進むと考えられる。

そこで、有望な使い方として期待されるのが「バーチャル来店」だ。店舗にDoubleやKubiを置き、遠隔地に住む人がそれを分身として使って商品を見たり、博物館や美術館で展示物を鑑賞するのである(図表2)。

図表2 テレプレゼンスロボットを使ったバーチャル来店イメージ[クリックで拡大]
図表2 テレプレゼンスロボットを使ったバーチャル来店のイメージ

茂木氏は「高額商品を売る店なら、店員がDoubleやKubiのサポート役として付くことも可能だろう」と話す。実際、トミー ヒルフィガー ジャパンが14年10月に表参道店でDoubleを使ったバーチャル来店を実施している。

そのほか、結婚式などの式典での利用も有望だろう。企業ではなく個人が購入した例ではあるが、結婚披露宴の会場にKubiを置いて、都合で参加できない遠隔地の親族がアクセスして新郎・新婦と話したり、同じテーブルの親族と会話を楽しんだケースもあるそうだ。結婚式場の運営側がこの仕組みを提供すれば、ユニークなサービスになるだろう。

月刊テレコミュニケーション2016年4月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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