携帯販売代理店トップのティーガイアは、NTT東日本/西日本の光回線サービス「フレッツ光」の卸売「光コラボレーションモデル」の法人市場で、大きなシェア獲得を目指している。
携帯電話販売でコンシューマ市場も手掛ける同社が、光コラボでは法人市場に特化しているのは理由がある。
光コラボのコンシューマ市場は固定回線とモバイル(インターネット接続サービス)の「セット割」に人気が集まっており、事業者別のシェアは、NTTドコモの「ドコモ光」とソフトバンクの「SoftBank 光」だけで約50%。そこにISP5社を加えると約80%に上り、事実上、携帯キャリアとISPの寡占状態にあるからだ。
「法人市場はフレッツ光のメインプレイヤーが不在であり、また光コラボには参入障壁もあって事業参入が進んでいない。当社は、直販での大手法人向け営業展開に加え、TG光卸事業で中小SOHO 法人向け開拓も進め、法人市場の一翼を担っていきたい」。こう語るのは、専務執行役員ネットワーク事業本部長の福島守司氏だ。
ティーガイアは2015年4月に光コラボ事業に参入し、大手企業に「TG光」と「TG光電話」を展開してきた。「TG光とモバイル端末やソリューションサービスを組み合わせた提案は、固定回線と携帯電話の請求の一元化により管理業務の効率化や経費削減を実現するとあって大手企業に好評だ。今後は、9割以上を占める中小企業やSOHOの市場も開拓していきたい」と福島氏は話す。
ストック型ビジネスで新たな収益源中小企業やSOHOの市場拡大を目的として、1月1日からは「TG光」の卸事業を開始した。主な再卸先となるのが、PBXやボタン電話設備などの販売・工事を請け負う電設会社だ。
もともとこれらの企業は、中小企業やSOHOの顧客を多く抱えている。加えて、通信機器販売のノウハウを持ち、電話の工事や保守・サポートを得意とする。ティーガイアの通信サービスとの組み合わせにより、オフィスの通信環境をトータルで提案することが可能になる。
図表1 TG光の卸事業の展開 |
また、電設会社の主力事業であるオフィス電話の大半はリース契約だが、最近は契約期間が終了しても再リース(継続利用)するケースが増えている。リプレースする場合も、今後はクラウドPBX がシェアを拡大すると予想されており、従来型ビジネスの縮小は避けられない。これに対し、光コラボ事業のようなストック型ビジネスは、継続的な収益獲得につながる。
しかも「代理店としてではなく、自社ブランドを持った通信事業者として光コラボ事業を展開できることは、電設会社にとって願ってもないチャンス」とネットワーク事業本部ネットワーク事業戦略チームリーダーの松本了一氏は話す。