絶えず移動を繰り返す業務においては、モバイル端末が大きな効果を発揮する。構内PHSシステム、無線LAN/携帯デュアル端末を用いたモバイルセントレックス、そして通信キャリアのFMCサービスと複数の選択肢があるが、それぞれに異なった特性を持っている。音声通話に限れば構内PHSのコストパフォーマンスは群を抜くが、ユニファイドコミュニケーション(UC)実現を想定すれば、また違った選択が求められることになる。
約1000台のモバイルセントレックス事例
2009年に、1154床という国内最大規模の病床数を抱える新病院棟を開院した帝京大学医学部附属病院(東京・板橋区)。そこで働く医療スタッフ間のコミュニケーションを支えているのは、無線LAN/携帯デュアル端末「N906iL」を活用したモバイルセントレックスだ。看護師が用いるナースコール連携端末として118台、医師その他のスタッフ向けに679台のN906iLを導入し、さらにNECの構内専用無線IP電話機「MH250」も265台が稼働。医療業界に構内PHSが広く普及した現状にあって、約1000台のモバイルセントレックス事例は、異彩を放っている。
なぜデュアル端末だったのか――。新病院棟の建設に当たり、そのICTシステム全般の企画から選定・構築を指揮した帝京大学・本部情報システム部部長の澤智博氏は当初から、医療スタッフのムダな時間を節約するためのツールとしてモバイル活用に着目していたという。多くの医療スタッフが連携して業務を進める医療現場では、待ち時間が発生する場面が多くある。移動が頻繁な状況にあっても円滑なコミュニケーションが可能になれば、そうしたムダは解消できる。モビリティが最大の目的ではあったが、しかし、澤氏が求めていたのは単なる電話ではなかった。
帝京大学 本部情報システム部 部長の澤智博氏 |
[Part1] 【アンリツ】口コミで広がるユニファイドコミュニケーションの輪
[Part2]【スタートトゥデイ】マイクロソフトOCSの導入で柔軟なワークスタイルが可能に