人材育成やアイデア創造、チームの一体感醸成などにも寄与するチャットメールでは実現できない、スピード感あるコミュニケーション――。これがチャットを業務に活用する最大のメリットといえるが、これだけにチャットの効果がとどまるわけではない。
例えば、テンダはこの11月にビジネスチャット「TEんWA」(てんわ)をリリースしたが、同社 常務取締役の中村繁貴氏はこんな思いを込めて開発したと話す。
「企業にとって人財は宝。人財を育てたり、新しいアイデアを生み出したり、精神的に苦しんでいる同僚に気付いてあげたり、人財の力を最大限に引き出すためのコミュニケーションプラットフォームとして、TEんWAを開発した」
「chat」とは、雑談やおしゃべりを意味する言葉だが、その意味通り、カジュアルにコミュニケーションできるのがチャットの大きな特徴である。
メールは、どうしても堅くなりがち。また、電話も何か用件がないと掛けづらい。その点、チャットには、隣の人と軽く雑談するような、気軽さや親密さがある。そのため、チャットには、コミュニケーションを活性化させる効果があり、これがアイデア創造やチームの一体感の醸成などにつながる。
また、グループチャット上でのやりとりの中には、業務に有用なナレッジが含まれることがあるだろう。グループチャットのやりとりは、当事者ではない他のメンバーも閲覧できるため、社員教育や情報共有なども効率的に行える。
例えば、チャットを実際に活用している企業からは、こんな効果をよく聞く。あるプロジェクトに新たなメンバーが参加したとしよう。その新メンバーがプロジェクトのこれまでの経緯を把握するのは容易ではないが、チャットを導入していれば、かなりスムーズになる。そのプロジェクトのチャットルームのログを読めば、これまでプロジェクトメンバーがどんな議論をしてきたが、後から参加したメンバーでも簡単に辿れるからだ。チャットのログは、議事録的な役割も果たすのである。
さらに、互いのやりとりが記録として残るので、「言った、言わないのトラブルを防げる」というのもよく耳にするチャットのメリットだ。
コンシューマー向けチャットの業務活用に潜む重大リスク
このように企業に多大なメリットをもたらすチャット。業務にチャットを活用する企業が増えるのも当然の話だが、実は必ずしも経営層やIT部門の関与のもと、チャットの業務活用が進んでいるわけではない。
LINEなどでチャットのメリットをよく知る従業員が、勝手にチャットを業務に活用しているケースが非常に多いのだ。LINEをはじめとするコンシューマー向けのチャットは無料で利用できるから、IT部門の力を借りなくても、簡単に業務に使い始められる。いわゆる「シャドーIT」である。
つまり、経営層やIT部門がどう判断しようと、チャットは草の根的にどんどん浸透していくということだ。しかし、コンシューマー向けチャットの業務利用には、様々なリスクが潜んでいる。
だから、企業がいま考えるべきは、「チャットを業務に導入すべきか否か」ではない。それは、放っておいても進んでいく。企業が本当に考えるべきは、「いかにセキュリティを担保しながら、チャットを自社の業務スピードアップなどに活かしていくか」である。
次回は、コンシューマー向けチャットを業務に使うリスクを具体的に解説するとともに、安心してチャットのメリットを業務に生かせるビジネスチャットの特徴を紹介する。
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