グリー流「クラウド仕事術」――チャットとGoogle Appsが業務スピードを変える

「コミュニケーションツールの選択はIT部門の最重要テーマ」――。そんなグリーの社内で大活躍しているのが、「Google Apps for Work」と「KDDI ChatWork」だ。インターネット業界をリードするグリーは、どのように業務スピードの向上を図っているのか。同社のICT活用術に迫る。

グリーに根付くチャット文化グリーのワークスタイルを紹介するうえでは、チャットも忘れるわけにはいかない。

同社では創業以来、チャットを主要な社内コミュニケーション手段にしてきた。単に従業員同士やパートナー企業などとのコミュニケーションに利用しているだけではない。業務プロセス自体に深く組み込まれている。

「システムに障害が発生すると、アラートはチャットで飛んできます。メールにもアラートは届きますが、チャットのほうがメールよりもリアルタイム性が高いので、 チャットを積極的に活用しています。障害だけでなく問い合わせをグループチャットに転送したり、また、特定のタスクをチャットへのコマンド入力し、それをトリガーに自動化させたり、その他運用作業を効率化するためのChatOpsも昔から盛んです」(岡田氏)

企業規模が急拡大するなか、管理・セキュリティ面が課題にただ、同社の企業規模が急速に拡大していくなかで、ある課題も浮上してくる。

それは、管理やセキュリティ面の問題だ。当時グリーが利用していたのは、コンシューマー向けのチャット。そのため、ユーザーを適切かつ効率的に管理するための機能や、業務上の情報を安全にやりとりするためのシステム管理機能が不十分だった。

「コンシューマー向けのチャットですから、見知らぬ人からメッセージが来て、悪意あるサイトに誘導される危険性もありました。また、大規模ユーザーのいる社内ネットワーク帯域への負荷も看過できない状況でした」と岡田氏は話す。

「当時、情報セキュリティに関する従業員研修は私が担当していましたが、チャットについては『あれはやるな、これをやるな』と伝えるだけ。管理者側で制御するための仕組みがないので、あとは従業員のモラルに頼るしかありませんでした」(高橋氏)という状況だったのである。

遂にグリーの要件を満たしたKDDI ChatWork同社では従業員数がまだ百数十名だった2010年には、すでにこうした問題を認識していたという(2015年9月末現在の従業員数はグループ全体で1590名)。

しかし、すぐには企業向けのチャットへと移行できなかった。

なぜなら、従来のチャットが同社の業務にあまりに深く根ざしていたためだ。「従業員の使用感という文化的な側面と、APIを利用した自動処理の実現という技術的な問題から、別のソリューションに置き換えるための要件は非常に高度でした」(高橋氏)。

相当数の企業向けチャットを試すものの、どれも採用には至らないという状況が続く。しかし遂に、グリーの要件を満たすことになったのがKDDI ChatWorkである。

KDDI ChatWork
KDDI ChatWorkの画面。グリーでは、プロジェクトごとやテーマごとにチャットルームを用意し、社内コミュニケーションに利用している

KDDI ChatWorkは、以前のチャットにはない管理機能やセキュリティ機能を持ちながら、高いユーザビリティやAPI連携の機能も備えていた。他の企業向けチャットと同じく、数十の評価項目を設けて評価したが、非常に良い結果を得られたという。

「ようやく代わりになるチャットと出会えました」(古屋氏)。グリーは2013年6月にKDDI ChatWorkを導入する。

それ以来、KDDI ChatWorkは以前のチャットと同様、メインの社内コミュニケーション手段として使われている。KDDI ChatWorkのAPI機能を活用し、プロセスの自動化も実現。また、従業員からの評価が特に高いというのが、以前のチャットにはなかった「タスク管理」機能だ。

「チャットでのコミュニケーションにおいては、当然、業務上の依頼が発生しますが、その依頼をタスクとして分けて管理できるので、非常に便利です」(高橋氏)

KDDI ChatWorkの管理機能については古屋氏がこう話す。「所属部署や、社員なのか社外パートナーなのかなど、ユーザーごとにコンタクトできる相手やファイル添付の権限等をコントロールできるようになりました。また、ログがダウンロードできる監査機能が備わっているのも大きいです」

コミュニケーションツールの選択はIT部門の最重要テーマグリーのワークスタイルの要となっているGoogle AppsとKDDI ChatWorkは、どちらもクラウドサービスだ。また、同社では、VPNや証明書認証でセキュリティを担保したうえで、私物のモバイルデバイスからも Google AppsとKDDI ChatWorkを利用できるようにしている。

「GoogleAppsやKDDI ChatWorkに限った話ではありませんが、クラウドファースト、モバイルファーストが情報システム部の基本方針です。その中でもメール/チャットなどのコミュニケーションツールは業務スピードを左右する最重要ツールなので、経営陣や社員も関心が高いです。また、定期的に実施される社内IT満足度調査でもGoogleAppsとKDDI Chatworkの2つは毎回、高いスコアを得ています」と岡田氏。今後もコミュニケーションツールの選択と効果的な活用については常に高い関心を持ってウォッチしていくとのことだ。

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