富士通が通信キャリアの広域ネットワーク向けに、迅速なサービスの立ち上げと運用負荷の削減を目的とした「ネットワークDevOpsソリューション」を発表した。ネットワークの仮想化とソフトウェアによる構成変更を可能にするSDN/NFV製品と、SI/NIサービスを組み合わせて提供することで、通信キャリアが新たなネットワークサービスを開発・運用するライフサイクルを総合的に支援するものだ。
開発と運用を一体化富士通 グローバルNIプロジェクト室 シニアディレクターの瀧本稔氏は、「当社がIT/クラウドの分野で培ったDevOpsの技術とナレッジをネットワークにも適用し、サービスの開発から導入・運用までのサイクルを迅速化する」と話す。
DevOpsとはITサービスの分野で広がった概念で、開発(Development)担当者と運用(Operations)担当者が連携・一体化して新サービスのサイクルを早める開発手法のことだ。現在の市場環境は、従来のように時間をかけてサービスを企画・開発してから運用へと移行する暇を与えてくれない。そのため、リリース後も頻繁に機能追加や改良を繰り返すクラウドサービスのように、ニーズの変化を取り入れながら迅速に改善していく考え方が、ITの分野では浸透してきている。
このDevOpsの実現には、サービスの開発・提供基盤となるインフラの設計や構成変更を効率化・自動化したり、オープンAPIによる迅速な開発を可能にしたり、またリリース後の運用を可視化するといった取り組みが必要になる。IT業界では仮想化の導入やオープン技術の採用がそれを支えているが、「SDN/NFVによって、ネットワークの領域でもそれが可能になってきた」(瀧本氏)のだ。
富士通 グローバルNIプロジェクト室 シニアディレクターの瀧本稔氏(中央)と、NFVソリューション部 マネージャーの奥田將人氏(右)、SDNソリューション部 部長の浦田悟氏(左) |
富士通は、自社のクラウドサービス等でDevOpsを実践してきており、その技術と経験をネットワーク基盤向けのSDN/NFV製品と、NI/SIサービスに活かすことで、キャリア向けビジネスを行う他のネットワークベンダーとの差別化を図る考えだ。
SDN/NFV導入の効果として、ネットワーク運用の自動化やコスト削減を訴求するベンダーも少なくないが、それだけでなく、キャリアの収益向上に直結する迅速な「新サービス創出」の効果を前面に押し出す狙いがある。