デルはネットワーク業界に風穴を開けられるか?――100GbEベアメタルスイッチ投入

「サーバーの世界と比べ、オープン化が大幅に遅れている」と指摘され続けてきたネットワーク業界。最近ようやく、SDN/NFVなどオープン化に向けた動きが本格化しつつあるが、もう1つ重要なキーワードとして挙げられるのが「ベアメタルスイッチ(あるいはホワイトボックススイッチ)」だ。こうしたなか、100GbE対応のベアメタルスイッチをデルが発表した。

「デルとして、ホワイトボックススイッチ、あるいはベアメタルスイッチといわれる市場に、単純に参入したわけではない。ここで確実にイノベーションが起きつつあるんだ」。2015年6月9日に開かれたデルの記者説明会。エンタープライズソリューションズグループ(ESG)プロダクトセールス・グループ ネットワークセールスグループ部長の草薙伸氏はこう意気込んだ。

ベアメタルスイッチ(ホワイトボックススイッチ)とは、ネットワークOSを搭載せず、サードパーティのOSを選択して利用可能なスイッチのことだ。ハードウェア的にも、ベンダー独自開発のASICではなく、ブロードコムのチップセットに代表される汎用部品の採用が特徴となっている。

ネットワーク機器の世界は長らく、チップセットからネットワークOS、さらにその上の管理ツールまでを、ベンダー1社が垂直統合で提供する時代が続いてきた。しかも、この世界においては、シスコという巨大なプレイヤー1社がマーケットの大半を占めている。

現在のネットワーキングとデルが目指すオープンネットワーキング
現在のネットワーキングと、デルが掲げるオープンネットワーキング

そこに変革を起こそうと、デルが昨年から推進しているのがオープンネットワーキング戦略だ。

ネットワークOSとハードウェアを分離するベアメタルスイッチは、サーバーにおけるメインフレームからx86アーキテクチャへのパラダイムシフトと同様の変化をネットワーク業界にもたらすと草薙氏は説明する。

例えば、x86サーバーでは、WindowsやLinuxなどOSを自由に選択できるが、同じように自社に最適なネットワークOSが選択可能になる。

また、サーバーの世界では、サードパーティのベンダーが自由にアプリケーションを開発・提供するエコシステムが確立されているが、ネットワークの世界でも同様のエコシステムが広がっていく。「例えば、ユーザー企業が自分で自動化ツールを開発できるようになる。ネットワークインテグレーターも、もしかするとオーケストレーションツールの開発が仕事になっていくかもしれない」

さらに、草薙氏は、「現在はベンダー独自のプロダクトサイクルにひきずられ、その結果、市場に出ている最新のチップセットを、ユーザーが一番いいかたちで使うということがなかなか実現できていない」が、ネットワーク機器のオープン化が進めば、「市場に出た一番新しいチップセットをすぐ使えるようになる」と語った。

米デル Dell Networking プロダクトマーケティング・ディレクター ジョナサン・セクラー氏
米デル Dell Networking プロダクトマーケティング・ディレクター ジョナサン・セクラー氏

そして、米デル Dell Networking プロダクトマーケティング・ディレクターのジョナサン・セクラー氏は、これからのネットワークの在るべき姿について、このように話した。

「オープンネットワーキングとは、ネットワークの能力をパーツごとに分離し、ユーザーが最適なものを選択できることを意味している。ネットワーキングの将来は、現在のサーバーの状況に似てくるというのが我々の考えだ。ネットワークも、自由にベストのOSとプラットフォームを選べる環境になるべきである」

デルのオープンネットワーキング戦略の全体像
デルのオープンネットワーキング戦略の全体像

なお、デルのオープンネットワーキング戦略の柱は、ベアメタルスイッチだけではない。合計3つの柱からなっている。2つめは物理ネットワークから仮想ネットワークを分離する「ネットワークオーバーレイソリューション」、3つめはネットワーク制御をフォワーディングプレーンから分離する「制御プレーンソリューション」。いずれもデル単独での取り組みではなく、パートナーとのエコシステムがキーになっている。

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