シスコシステムズは2015年4月16日、ビッグデータ向けポートフォリオの拡充を発表した。
シスコでは以前から、モノだけではなくヒトやプロセスまでも包含したIoE(Internet of Everything)というコンセプトを掲げている。そして、IoEを支えるインフラとして、ネットワークからサーバーのUCS、さらにはエッジ側でセンサーデータの処理などを行う「フォグ(霧)コンピューティング」などに力を入れている。
今回の発表の骨子は、こうしたインフラ領域に加えて、アプリケーション領域の様々なパートナーとエコシステムを築くことで、ビッグデータ基盤をエンド・トゥ・エンドで提供していくというものだ。
具体的にはまず、Cloudera、Hortonworks、MapRのHadoopディストリビューター3社と再販契約を締結した。これにより、シスコはユーザー企業に対し、これら3社のHadoopディストリビューションの提供・サポートなども一元的に行える体制を構築した。
また、UCS ManagerとHadoop Managerの統合管理や自動化を可能にする「UCS Director Express for Big Data」、データがHadoopにあってもデータウェアハウスにあっても一本化してアナリティクスのツールに提供する機能である「Data Virtualization Platform」も発表した。
UCS Director Express for Big Dataの概要 |
なお、シスコシステムズ 執行役員 データセンター/バーチャライゼーション事業担当の俵雄一氏は、Hadoop用のサーバーとしてUCSを選択するメリットについて次のように説明している。
「通常、仮想化インフラでビッグデータを処理するお客様はいない。ベアメタルをずらっと並べるお客様がほとんどだと思うが、UCSは仮想化環境ではなくベアメタルでもUCS Managerとの組み合わせでソフトウェア・デファインド・コンピュートを実現する。UCSを1000台以上並べて使っている大規模なお客様もいる」
ベアメタルでもソフトウェア・デファインド・コンピュートを実現できるというUCS |
Splunk、SAS、Infomaticaなどもビッグデータパートナーに
ビッグデータ分析のためには、Hadoop以外にデータの抽出/変換/ロードのためのETLや分析/ビジネスインテリジェンス(BI)のためのアプリケーションなども必要となるが、Infomatica、Splunk、SAS、QlickTechなど数多くのビッグデータ関連アプリケーションベンダーとのパートナーシップもアナウンスされた。
シスコのビッグデータ向けエコシステム。用途や目的別にあらかじめハードウェアやソフトウェアをパッケージした「スターターパック」や「パフォーマンス最適化パック」などのリファレンスアーキテクチャも用意する |
俵氏は、「我々はアプリケーションのベンダーではない。インフラのベンダーだ。しかしビジネスを変えるためのインサイトへとデータを変えるには、アプリケーションが必要」としたうえで、「シスコは、経営者が求めている“ビジネスの結果”のための、一番スピーディで最も堅牢なビッグデータ基盤をトータルに提供できる」とアピールした。