「今からの20年前の1994年、インターネットに接続している人の数は2000万人だった。それがモバイルインターネットが急速に普及するなか、現在では30億人を突破するまで急拡大している」
ジュニパーネットワークス マーケティング本部 本部長の近藤雅樹氏がこう説明する通り、今や世界中の多くの人々に広まったインターネット。ただ、日本のような先進国と新興国では、インターネットの利用状況に興味深い差異も見られるようだ。
ジュニパーネットワークスは2014年12月17日、世界9カ国のインターネット接続の利用状況を調べた「Global Bandwidth Index」の調査結果を発表した。モバイルやIoT/M2M関連など、インターネットを活用したサービスの海外展開の機運は日本でも高まっているが、同調査は“新興国戦略”の参考になるヒントを与えてくれる。
ジュニパーネットワークス マーケティング本部 本部長 近藤雅樹氏 |
スマートフォン普及で大きく変わる新興国の人々の日常生活
この調査は、日本、米国、英国、ドイツ、オーストラリア、中国、インド、ブラジル、南アフリカの9カ国の成人5500人を対象に行われたものだ。職場や家庭といった日常生活においてインターネット接続をどのように利用しているか、将来的に何を期待しているかなどについて聞いている。
まず目を引くのは、新興国の人々のほうが「日常的に欠かせない活動がインターネット接続によって変化した」と感じていることだ。日本ではそう回答した人の比率が9カ国で最も低い60%にとどまったのに対し、新興国では97%となっている。
この差の背景には、日本の場合、インターネットが普及してから長く、すでに人々の生活に浸透していることもあると見られる。新興国の場合、インターネットはまだ手にしたばかりのテクノロジであり、そのインパクトは強い。また、近藤氏は、先進国は医療・交通・物流・教育などの社会インフラが整備されており、「インターネットがなくても生活レベルは高い」という点も指摘する。
ただ、こうした点を割り引いても、ほぼ全員の生活がインターネットで変わったというのは、大変興味深いデータだろう。
スマートフォンに代表されるインターネット接続デバイス(コネクテッド・デバイス)によって、新興国の人々の生活は急速に変化しているのである。