フリービットのMVNO戦略「垂直統合モデルでサードウェーブキャリアを目指す」

MVNO参入が相次ぎ携帯電話市場が活性化するなか、「freebit mobile」は自らスマートフォンを開発し直営店舗を展開するなどユニークな路線を歩んでいる。自己のISPの経験とISP300社のサポートで15年の実績を持つフリービット石田宏樹社長は「垂直統合モデル」を強調し、事業の成算を語る。


――昨年11月、自社開発のスマートフォン「Pand A」と端末代を含めて月額2000円という低料金で衝撃デビューしました。freebit mobileのMVNOサービスを始めて1年になりますが、手応えはいかがですか。

石田 3年間で携帯電話市場の1%、120万加入を目標にしていますが、順調に推移しています。freebit mobileの認知度はだいたい20%ぐらいに上がっています。携帯電話キャリアと同じ100%に近いところに持っていけば販売が5倍になりますから、余裕で100万ユーザーに届くと考えています。

昨年末、直営店舗「ATELIER」を福岡・天神に開設しましたが、先ごろ渋谷スペイン坂に4店舗目をオープンしたところです。1時間で開店可能な移動型の店舗形態「STAND freebit」も開発し、アウトレットモールなどで稼働を始めています。

――様々なタイプのMVNOサービスが登場していますが、自前の店舗展開に踏み切るのは珍しい。

石田 携帯電話キャリアと同じような、販売代理店を活用してショップを全国展開する気持ちはありません。私たちは、インターネットがベースですから、シンプルで分かりやすくコストのかからないオープンな展開を目指しています。得意とするオンライン販売を軸にしています。しかし、オンラインだけというのはやはり一部に限られますし、O2Oといわれるように、オンライン+オフラインによる立体的なマーケティングを目指しており、リアル店舗の展開も必要だと考えています。

――MVNOの弱点は端末調達が難しいことだといわれてきましたが、端末も自社で開発しました。

石田 ユーザーに本当によいサービスを提供し、事業を継続していくため利益を確保するには「垂直統合型」でないと難しいです。端末からプラットフォーム、販売、サービスまで一元的にコントロール出来てこそ細やかなところに手が届くサービスの提供が可能です。

iPhoneは優れていますが不満足の大半はキャリアにあります。我々はAndroidを使いますが、我々自身でそれをコントロールし、ハードウェアも自分たちで作っています。ネットワークまで統合したら、Appleよりもシンプルなものが理論的にできるわけです。

例えば機能も、端末サイドで処理するものとネットワークサイドで処理するものとを、我々の特許技術によって分散しています。

月刊テレコミュニケーション2014年11月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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石田宏樹(いしだ・あつき)氏

1972年佐賀県生まれ。1998年3月 慶應義塾大学総合政策学部卒。在学中に、有限会社リセットを設立。三菱電機よりISP立ち上げの依頼を受け、ドリーム・トレイン・インターネット(DTI)設立に参画。2000年5月 株式会社フリービット・ドットコム(現フリービット株式会社)を設立、2007年3月 東証マザーズに上場。2013年12月、freebit mobileを開始。2012年5月より、新経済連盟監査役に就任。

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