爆発的な増加が続くモバイルトラフィック。なかでも日本は「世界の先を行っている」とノキアソリューションズ&ネットワークス 代表取締役社長のジェイピー・タカラ氏は話す。「日本の平均トラフィックは、1人1カ月3GB。これはグローバル平均の6倍に相当する」
こうしたなか、同社は近年、「Technology Vision 2020」というビジョンを掲げ、2020年をターゲットに、「1人1日1GBのデータ通信が可能なモバイルネットワーク」の実現に取り組んでいる。2014年10年28日に同社が開催した記者説明会では、Technology Vision 2020の現状、そしてその先にある5Gに関する説明が行われた。
ノキアソリューションズ&ネットワークス 代表取締役社長 ジェイピー・タカラ氏 |
キャリアアグリゲーションでネットワーク容量は40%改善する
Technology Vision 2020は、6つの要素で構成されている。1つめの目標は、1人1日1GB時代に対応するため、ネットワーク容量を1000倍にすることだ。
Technology Vision 2020の6つの要素 |
ネットワーク容量を1000倍にするための具体策は多岐にわたるが、その1つに複数の周波数帯を束ねるキャリアアグリゲーションがある。
「キャリアアグリゲーションというと、周波数を1+1するだけで、『ネットワーク容量の増大には寄与しないのでは』と思われている方もいるかもしれない。しかし、そうではない。なぜなら、別々に周波数を使うと偏りが出るためだ。キャリアアグリゲーションにより、ネットワーク容量は40%改善するというデータもある」
キャリアアグリゲーションによる容量拡大効果 |
同社 テクノロジー・ディレクターの赤田正雄氏はこう説明したうえで、以下のスライドの通り、キャリアアグリゲーションおよびMIMOによる高速化のロードマップを提示した。
キャリアアグリゲーションによる高速化のロードマップ |
さらに、赤田氏は5.8GHz帯の免許不要帯域でLTEを利用するLTE-U(=LAA:Licensed Assisted Access)に関する検討が3GPPで始まっていることなどを紹介した。
LTE-Uの概要 |
ネットワーク容量を1000倍にするためには、基地局のさらなる高密度化も不可欠だ。その結果、課題になるのが、電力消費の増大や運用管理の複雑化である。そこで、ノキアソリューションズ&ネットワークスでは、電力消費を削減できないまでも現在と同等に抑える「消費電力フラット化」や、運用を効率化する「ネットワーク制御自律化」にも、重要なイノベーションとして取り組んでいるという。
このほか、今話題のNFVにあたる「テレコムインフラのクラウド化」や、「ネットワークサービスのパーソナル化」などについても言及された。