スマートフォンやタブレットを決済端末として利用するモバイル決済サービス。その中心となっているのが、「Square(スクエア)」や「PayPal Here(ペイパルヒア)」のような端末本体に装着した小型のカードリーダーでクレジットカードを読み取るタイプだ。ところが、財布やカードを出さずに端末をかざすだけで決済が完了するサービスも新たに登場している。
その1つ、MPayMe Limited(エムペイミー・リミテッド)社が提供する「ZNAP(ズナップ)」は、2010年に香港で誕生した。すでに英国やオーストラリア、米国、シンガポール、インドネシアなどで展開しており、スーパーマーケットやスタジアムに導入されている。日本では2013年4月にMPayMe Japanを設立、大手決済代行業者のビリングシステム社と提携し、同年10月からサービスを開始した。
インドネシアではスーパーマーケット「ハイパーマート」で導入されているZNAP |
ZNAPは、iOSとAndroid向けに専用アプリを無料で提供しており、このアプリにクレジットカード情報をはじめ氏名や性別、生年月日などの個人情報をあらかじめ登録しておくと、商品購入(決済)と配送の手配を簡単に行うことができる。
購入者は(1)アプリを起動してアイコンをタップするとQRコードリーダーが起動し、カメラをかざしてQRコードを読み取る、(2)支払い情報が自動認識されるので、画面上で内容を確認、(3)暗証番号を入力するという簡単な操作手順で決済が完了する。決済方法は、クレジットカードのほか電子マネーやデビッドカード、プリペイドカードも利用でき、年内には銀行口座振替への対応も予定している。
図表 ZNAPの決済の流れ |
こうした手軽さから、ポスターやテレビ、新聞、雑誌、WebなどQRコードを張り付けられるところであれば、ZNAPのECカート機能により、販売の場に変えることができる。つまり、今までは商品紹介や来店誘導の手段であったメディアが販売チャネルとなることで、広告の在り方や紙媒体の役割に大きな影響を与えるものになりうる。
Web画面などでもQRコードを読み取り、決済の手続きができる |
また、加盟店は、金額を入力するとタブレットやスマホの画面にQRコードが生成されるアプリを提供されるので、モバイルPOS機能による対面決済にも対応する。つまり、システム導入のための設備投資や決済に関わるカードリーダーは不要で、コストをかけずにモバイル決済サービスを導入できる。