Wi-SUNアライアンスは2026年3月27日、Wi-SUNの最新動向を紹介するイベント「Wi-SUN Open House 2026」を開催した。
Wi-SUNとは、情報通信研究機構(NICT)が開発を主導した日本発のIoT無線規格。920MHz帯を使用し、マルチホップによる長距離通信や低消費電力を特徴とする。
イベントの基調講演に登壇したWi-SUNアライアンス プレジデント&CEOのフィル・ビーチャー氏は、アライアンスに46カ国・300以上の企業・組織が参画していることに触れつつ、「グローバルで1億台以上のWi-SUN対応製品が展開されている」と述べ、Wi-SUNが広く普及しつつあると強調した。

Wi-SUNアライアンス プレジデント&CEO フィル・ビーチャー氏
Wi-SUNのプロファイルの1つが、HEMS(家庭向けエネルギー管理システム)と家電製品などを連携させるWi-SUN HAN(Home Area Network)およびHANを拡張したWi-SUN Enhanced HANだ。国内では、東京電力などの電力会社がスマートメーターとHEMS機器間の接続インターフェース(Bルート)として活用している。
対して、Wi-SUNの屋外仕様であるWi-SUN FAN(Field Area Network)の最新規格「Wi-SUN FAN 1.1」は、OFDM(直交波周波数分割多重)に対応し、「データレートは300kbpsから最大2.4Mbpsに向上する」。また、低消費電力プロトコルの採用により、「20年以上の電池駆動も見込める」ため、水道やガスメーターの検診をはじめ、スマート農業や街灯路の制御など、ユースケースは多岐にわたるとビーチャー氏は紹介した。
京大 原田教授が語るWi-SUNの優位性
ビーチャー氏に続いて登壇したのが、Wi-SUNアライアンスで理事会議長を務める京都大学 教授の原田博司氏だ。同氏は、Wi-SUNの研究開発が今年で15周年を迎えることに触れ、その要因について次のように述べた。
「多くのLPWAは全国規模の公衆網を構築してIoTサービスを展開しようとしたが、ビジネスとして成立しにくかった。一方、Wi‑SUNはユーザー自らがネットワークを構築する自営系サービスを基本としつつ、一定のデータが集約された段階で公衆系サービスを使う。自営系と公衆系を上手く使い分けているのが、他のLPWAと決定的に違う点だ」

Wi-SUNアライアンスで理事会議長を務める京都大学 教授 原田博司氏
2024年5月には、スマートメーター経由でガス・水道メーターの検針を行う通信ルート(IoTルート)が定義され、その通信方式にWi-SUN enhanced HANが採用された。原田氏によれば、「国内のガス・電力事業者からすでに多くの引き合いをいただいている」。
Wi-SUN FANについては、「各ノードが自律的に接続先を選択できる」点が強みだと強調。建物のレイアウト変更や設備の増減などで電波環境が変化しても、ネットワークが自動的に経路を再構成できるという。一時的に非効率な経路を選択してしまうこともあるが、「AIの技術発展により改善されていくだろう」と展望した。














