テレワーカーは5人に1人
「セキュリティとコストの問題は、技術的にクリアされつつあり、以前よりもテレワークのハードルは低くなっている」
テレワーク推進フォーラムの主催で11月27日に都内で開催されたセミナー「テレワークの進化を支えるICTソリューション」において、一般社団法人日本テレワーク協会会長の宇治則孝氏(NTT顧問・前副社長)はテレワークの現状について、こう述べた。
国際化、少子高齢化、事業継続対策など企業を巡る環境の変化や、ワークライフバランス、人材確保の観点から、企業にはワークスタイル変革が求められている。テレワークは、その有効な手法の1つとして注目を浴びている。
テレワークの導入率はここ数年、増加傾向にある。国土交通省の「テレワーク人口実態調査」(2013年3月)によれば、所属部署以外の場所で1週間に8時間以上、ICTを使って仕事を行う「狭義テレワーカー」は、2012年に1400万人となった(図表1)。就業人口(12年は約6573万人)に占める狭義テレワーカー率は、21.3%に達した。
図表1 増加するテレワーカー人口
また、図表1からは、2011年以降に増加ペースが上がっていることが読み取れる。これには、モバイルPCやスマートデバイス、高速な無線通信サービスの普及によって、場所・時間を選ばずに業務が遂行できる環境が整ってきたこと、特に東日本大震災の経験を経て事業継続対策を強化する動きが広がり、リスク対策の観点で企業のテレワーク導入検討が進んだことが背景にある。
人数だけでなく、利用の実態にも変化があるようだ。IDC Japanが行った「テレワーク利用動向調査」(2013年9月発表)によれば、2013年調査時のテレワーク利用企業の割合は2011年調査時から外勤者向けで30.8ポイント、在宅勤務は20.4ポイント増加した(図表2)。
実施状況についても、「従業員の個別申請により実施」が減少し、「全社的に実施」「仕事の仕方によっては実施」「部署を限定して実施」の割合が大きく伸びている。