スマートフォンとタブレットで構成されるスマートデバイス市場が拡大を続け、PCを含めたモバイルデバイス市場の中で、スマートデバイスが占める比率は年々上昇している。
IDC Japanの調査によれば、2012年に国内で出荷されたスマートフォンは前年比42.1%増の2848万台、タブレットは前年比91.3%増の462万台。2017年にはスマートフォンの出荷台数は3753万台、タブレットの出荷台数は1009万台に達すると同社は予測している(図表1)。
図表1 2012~2017年 国内モバイルデバイス出荷台数予測 |
それに対して、PCの地位は低下している。2013年第2四半期(2013年4~6月)のPCの出荷台数は前年同期比12.5%減少した。モバイルデバイスの主役はノートPCからスマートフォン、タブレットに移行したことをデータが鮮明に物語る。NTTドコモがiPhoneの販売を開始したこと、そして低価格タブレットの登場がスマートデバイスの普及を後押ししていくだろう。
ワークスタイルを変革して組織を活性化し、業務効率を向上させたい――。それが企業のスマートデバイス活用の大きな目的だ。
スマートデバイスが登場する以前、ノートPCがワークスタイル変革ツールとして導入が進んだ。ノートPCを活用してワークスタイルの変革に挑戦してきた企業では、スマートフォン/タブレットが登場して以降、「起動に時間がかかる」「重く持ち運びにくい」ノートPCからスマートデバイスへの切り替えを進め、成果を生み出している。例えば、ある製造業はタブレットを活用して営業現場の報告を素早く本部に吸い上げ、その報告を見つつ営業担当社員にタイムリーに指示を出す仕組みを構築。それによって業績を拡大させている。
また、客先など社外からスマートデバイスを用いて社内のサーバーにアクセスし、カタログやドキュメントを参照できるようにする取り組みも広がっている。目的は、商談のスピードアップだ。オフィス内でも、ドキュメント共有を軸とするスマートデバイスの活用が広がっている。その典型が、サーバーに保管している会議資料をタブレットで参照すること。デジタル化したドキュメントをスマートデバイスに表示して、最新のドキュメントを参加メンバーが共有できる。社内会議の場における情報共有ツールとしてスマートデバイスに対する期待は高い。
一方、UC(ユニファイドコミュニケーション)システムがモビリティ機能を拡充するなか、スマートデバイスの適用領域が広がってきた。スマートフォンやタブレットを用いて、オフィスの外からWeb会議に参加するといった活用も始まっている。その狙いは、意思決定の迅速化だ。ある企業の役員は、「出張先の米国からスマートフォンを利用して、日本で開催されているWeb会議に加わっている」と話す。