「社員交流の場」から「仕事の手段」としての社内SNSへ
このような特性を持つ社内SNSは、2007~2008年頃の草創期、業務に関連する話題だけではなく、趣味などについても語り合える場として導入されることも多かった。
だが、現在ではだいぶトレンドが変わってきているようだ。「以前は社員交流の場として社内SNSが注目されていたが、今は仕事の手段として社内SNSが見直されている」とガイアックスの小谷美佳氏は語る。
なぜ、社員交流の場としての社内SNSが下火になったのか。その一因は、最初は盛り上がっても、長続きしにくいからである。「日常業務と関係がないと、やはりおろそかになってしまう。会社としては社員交流を活性化させたいという理由があっても、ユーザーである社員からすると、『なぜ今さら自己紹介しないといけないの』『仕事に関係ない』など、社内SNSで社員交流するメリットを感じにくい」(小谷氏)
そこでガイアックスでは、日常業務での利用に特化した社内SNS「Co-Work」を新たに開発し、2013年7月から正式提供を始めている。2007年から提供する社内SNS「エアリー」については、内定者や育休・産休中の従業員のフォローなど、人事ニーズに特化した社内SNSとして棲み分けていくという。
Co-Workは、メールや会議といった従来型のコミュニケーションを積極的に代替していくことを狙った社内SNSであるが、これは社内SNS全般にいえるトレンドだ。大量のメールの処理、情報共有のための会議が、生産性を低下させていることには多くの人が気付いている。その解決策として、社内SNSを採用する企業が増えているのだ。
社内SNSで会議を代替することのメリット(出典:ガイアックス) |
例えば、「Salesforce Chatter」を採用する野村證券の国内IT戦略部は、部内メールを禁止し、すべて社内SNSに切り替えた。この結果、会議時間が約10分の1に減ったほか、障害発生時の情報共有が効率化されるなど、非常に大きな効果が得られているという(関連記事)。既存のコミュニケーションツールの補完という脇役的な位置づけではなく、ワークスタイルそのものを変革するための道具として社内SNSが活躍している企業は今、野村證券に限らず、次第に増え始めている。