構築コストを568分の1にまで低減
また、今回開発したLAMは、「数字やカテゴリ(数字以外の分類データ)が混ざった時系列データを学習できるように設計されている。顧客の不規則な行動によって生じる偏りや欠損にも強い」と倉沢氏。
これにより、「顧客が翌週どの店舗で携帯料金を支払う可能性が高いか」を予測する独自タスクにおいて、従来の機械学習と比べて約30%、Transformer比で約10%の性能向上を実現したという。

機械学習と比べて30%、Transformer比で10%の性能向上
加えて、「AIの学習効率や性能を向上させるための設定値(パラメータ)を最適化する」ことで、AI学習に必要な構築コスト・時間を、Metaが開発したLlama-1 7Bと比べて約1/568にまで低減したと倉沢氏は説明した。

AI学習に必要な構築コスト・時間を1/568に(Llama-1 7B比)
31%だったテレマ受注率が62%に
前述の通り、LAMを活用した1to1マーケティングにより、テレマーケティングでの受注率を約2倍に高めることに成功。例えば、「カードを申し込んだ数日後に広告を閲覧した人」の受注率は31%だったのに対し、「アプリを利用した数分後にクーポンを取得した人」の受注率は62%に達した。
ドコモでは、後者のような行動パターンを持つ顧客へ重点的にアプローチすることで、より効率的なマーケティング活動を実施できているという。

テレマーケティングの受注率は2倍に
NTTとドコモは、今回開発したLAMを医療やエネルギーといった他分野にも応用していく方針だ。
医療分野では、糖尿病患者の治療履歴を時系列データとして整理し、病態変化や薬剤処方の順序パターンをLAMに学習させることで、治療支援への活用を目指す。
エネルギー分野については、太陽光発電設備の発電量を時系列化し、雲の動きや位置が日射量に与える影響パターンを学習させ、日射量予測のさらなる精度向上に役立てたいと倉沢氏は述べた。










