ソフトバンクとGen-AXが「AIオペレーター」 三井住友カードやJALが先行導入

ソフトバンクとそのAI子会社であるGen-AXが、AIオペレーター「X-Ghost」を提供開始した。音声から音声を直接生成する「Speech-to-Speechモデル」を活用し、より自然な会話を実現させている。三井住友カードやJALなどが自社のコールセンターへ先行導入を進めている。

危険な問い合わせを検知、コミュニケーションの制御機能も

2つめが、Speech-to-Speechモデルの制御機能。危険な問い合わせ内容を検知して電話を遮断する「プロンプトシールド」や、ポリシー設定に反する応答の出力を防ぐ「ポリシー違反機能」、難解な専門用語や固有名詞の読み間違いを防止する「読み誤りチェック機能」などを備える。あらかじめ用意したチェックリストに基づき、会話の内容が逸脱しないよう制御することも可能だ。

また、「学資保険の満期後に別の保険へ加入したい」といった、専門知識や法的判断を要する問い合わせについては、AIが自動的に専門オペレーターへ引き継ぐ。オペレーターは専用ダッシュボード上で会話ログを事前に確認し、内容を把握したうえで受電できる。

Speech-to-Speechモデルの制御機能の一例

加えて、業務内容に近いテンプレートを選択し、業務フローを自由かつ簡単に設計できる編集ツール「X Ghost Builder」をあわせて提供。これにより、AIコールセンター環境をスピーディーに構築できるよう支援していくとした。

三井住友カードは70%の業務効率化目指す

ソフトバンク 法人統括 法人第一営業本部 執行役員本部長の長野雅史氏によれば、X-Ghostは「金融機関や鉄道・運輸、メーカー、小売など10社以上で案件が進んでいる」。

その1社が、三井住友カードだ。顧客の問い合わせに24時間365日対応できる体制を整備し、2028年度までにX-Ghostなどの生成AIでコールセンター業務の約70%を代替することを目指している。

また、「カードが使えなくなった」という問い合わせに対し、単に一般的な原因を推測して示すのではなく、実際の利用状況などをもとに真のボトルネックを特定して最適な対応策を提示することで、CS(顧客満足度)向上を図っていくという。

事例①:三井住友カード

JAL(日本航空)は、顧客の待ち時間を短縮するためにX-Ghostを先行導入。現在の自動応答システムは、ガイダンスに従って電話のボタンを押すことで担当部署へ振り分けられるケースが多いが、こうした手間を省き、AIオペレーターと顧客が直接対話して問題を解決できる環境を整えていきたい考えだ。

事例②:JAL

導入にあたっては、JDSCやシグマクシスなどのコンサルティング企業との伴走プログラムを整備。導入設計から運用・改善までをワンストップで支援する。なお、販売はソフトバンクが担当する。

将来的には、全国約1700の市町村にX-Ghostをはじめとする生成AIサービスを導入し、「地方自治体の人手不足解消や行政サービスの向上に貢献していきたい」とGen-AX 代表取締役社長 CEOの砂金信一郎氏は意気込んだ。

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