NTTの独自LLM「tsuzumi」がアップグレード 3つの強化ポイントとは

NTTが、独自LLM(大規模言語モデル)のtsuzumiをアップグレードした「tsuzumi 2」の提供を開始した。日本語性能のさらなる向上、企業・業界に特化したモデル開発の効率化、低コスト・高セキュリティの両立という3つの性能強化を図った。

FP2級試験を「200問の学習」で合格

2つめとして、RAG(検索拡張生成)の活用やファインチューニングを行うことで、企業・業界に特化したモデルの開発効率を高めている。特に「お客様からの要望が多かった金融・医療・公共分野の知識を強化した」(島田氏)。

例えばFP(ファイナンシャルプランニング)2級試験は、約60%の正答率で合格するとされているが、島田氏によれば、Gemma-2 27BにFP2級の問題を解かせる場合、約1900問の回答を学習させてようやく正答率は約64%に達する。対してtsuzumi 2は、その1/10にあたる約200問の学習で、正答率70%を実現できるとアピールした。

また、NTT社内の「財務システムに関する問い合わせ対応業務」にtsuzumi 2を活用した評価では、他社モデルと同等以上のRAG性能を確認できたという。

追加学習データ量を1/10に

3つめが、低コスト・高セキュアだ。前述の通り、tsuzumi 2のパラメータサイズは30Bだが、「30Bという数字は、1つのGPUに収まる最適なサイズだ。1つのGPUで動かせれば、オンプレ環境でも運用できるので、高いセキュリティを確保できる」と木下氏は語った。tsuzumi 2の安全性を評価するベンチマークでは、主要モデルと比較して高いスコアをマークしているという。

また、木下氏は「DeepSeek-v3.1やLlama-4の推論コストには、5000万円~1億円規模のGPUコストがかかる」としたうえで、「tsuzumi2は、500万円程度のGPU1基でも動く」と、コストを抑えながら企業・自治体がAIを活用できると強調した。

推論コストを1/20に

tsuzumi 2で教育DX

東京通信大学は、このtsuzumi 2を教育現場に導入することを決定。授業内容への質問対応の効率化・高度化、教材・試験作成の支援、パーソナライズ化された履修・進路相談などにtsuzumi 2を活用していく方針だ。

さらに、富士フイルムビジネスイノベーションのAIブランド「REiLI」とtsuzumi 2を組み合わせたAIソリューションを提供する計画だ。「企業に散在した高機密な文書や画像などをReiLIで構造化し、それをtsuzumi 2にセキュアに学習させることで、企業内に蓄積されたノウハウも有効活用できるようになる」と常務取締役 常務執行役員 CCXO Co-CAIO 研究開発マーケティング本部長の大西佐知子氏は述べた。

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