「NTT東西単独での試験・検証も欠かせない」
NTT東西単独でも、ネットワーク品質向上に向けた施策を強化している。「『ベンダーが検証済の製品を試験するのは無駄ではないか?』という意見もあるかもしれないが、各ベンダーの機能が我々の商用環境で正しく動作するか、複数のシステムが連携して構成されているネットワーク全体で期待通りに動くかを検証する工程は欠かせない」(太田氏)
NTT東西では、「検証パターン」と「検証範囲」という2本軸でネットワークの試験・検証を進めている。検証パターンについては、「異常なパケットを流した際に正しく処理できるか」「標準とは異なるプロトコルでも問題が起きないか」「最新のトラフィックパターンを模擬しても安定して動作するか」など、検証項目を順次拡大しているという。
検証範囲に関しては、「ネットワークには多くの装置がつながっており、商用環境と全く同じものを再現して試験を行うのは難しかったので、従来は『ここまでの範囲で検証すれば十分』と判断していた」。現在はその範囲を広げ、これまで試験の対象としていなかった装置の検証も行っていると太田氏は語った。こうした試験・検証は可能な限り自動化し、作業負担が増えないように工夫しているとのことだ。
「検証パターン」と「検証範囲」の両軸で推進
また、通信障害の影響を最小限に抑えるため、ネットワーク構成のシンプル化を推進している。「ネットワークが複雑だと、通信障害の影響が広がりやすい。装置更改等のタイミングでネットワーク構成を見直し、シンプル化を図ることで、通信障害の影響範囲を限定できる」(太田氏)。
さらに、従来は「密結合型の冗長構成が主流」だったが、NTT東西では疎結合による装置冗長化を採用することで、予期せぬトラブルが発生しても、影響を局所化できるような設計にしているという。