ソリューション特集注目高まる「エンタープライズブラウザ」を徹底解説 セキュリティと業務生産性を両立する新たな手段

SaaSや生成AIの利用が企業で広がるなか、情報漏洩や内部不正のリスクが高まっている。ユーザーの快適さを犠牲にせず、それらを防ぐアプローチがエンタープライズブラウザだ。

ブラウザは“SASEの一環”

パロアルトネットワークスは、エンタープライズブラウザ「Prisma Access Browser」を提供する。同社のSASEプラットフォーム「Prisma Access」に統合されており、ブラウザのインストールのみでその保護ポリシーをエンドポイントにも適用できるという利点がある(図表4)。SASEの導入企業が子会社や取引先に対してもこのブラウザの利用を求め、サプライチェーン全体の情報漏洩対策を強化するケースもあるという。

図表4 「Prisma SASE」の全体構成

図表4 「Prisma SASE」の全体構成

同社 プラットフォーム事業本部 ビジネスプリンシパルの和田一寿氏は、「ブラウザという形でエンドポイントに導入されることで、情報システム部門にとっては安心感、エンドユーザーにとっては生産性をもたらす」と話す。情シスが把握しきれない多様な業務の保護が可能になるほか、文字列単位でのマスキングなど、内部不正対策も手厚い。

生成AIの利用状況を可視化したり、ユーザーのカテゴリに応じたポリシーで利用するAIアプリを制御する機能もある。「エンタープライズブラウザは他のSASEベンダーにはない差別化要素だ」と和田氏はシングルベンダーSASEとしての強みを強調した。

Menlo Securityは“進化形RBI”

RBI市場をリードしてきたMenlo Securityは、「Secure Enterprise Browser」の名称で製品を展開している。RBI技術を基盤とし、従来課題だった操作性や表示遅延を独自のレンダリング技術によって改善。ファイルの無害化やフィッシングサイトの検知、生成AIへの入力制限など、外部脅威の防御機能が充実している。

国内向けに取り扱うマクニカ ネットワークス カンパニー セキュリティソリューション営業統括部 プロダクト第3営業部 第1課の高橋聖矢氏は「VDIのリプレースをきっかけに導入されることが多く、ISMAPに準拠している点が評価されている」と、省庁や金融機関など高いセキュリティ要求を持つ組織での導入が進んでいると説明する。既存のブラウザに設定を反映させる形で導入するため、操作性が維持される点も特徴だ。

エンタープライズブラウザはコストでも優位性

仮想化環境の構築が必要ないエンタープライズブラウザは、VDI/DaaS等と比較し導入・運用コストを大幅に抑えられることも魅力だ。Mammoth Cyberは最小構成で1ユーザーあたり年間1万2200円(税別)。Islandは「DaaSの半額程度」(マクニカ榎本氏)の価格感だという。

SaaS利用が今後さらに拡大するなか、エンタープライズブラウザは“最終ライン”のセキュリティとして、企業にとっての最適解になりうる。

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