デル(以下、デルソニックウォール)は5月16日、次世代ファイアウォールの新製品「Dell SonicWALL SuperMassive 9000シリーズ」を発表した。同社は通信事業者などサービスプロバイダー向けのフラッグシップ製品としてSuperMassive E10000をラインナップしているが、SuperMassive 9000はその“弟分”に位置づけられるもの。「通信事業者向けに作られた製品のテクノロジーを、エンタープライズの世界で使っていただく」と米デルソニックウォールのディミトリー・アイラペトフ氏は紹介した。
新製品のSuperMassive 9000シリーズ。3モデル用意されており、上から「9200」「9400」「9600」 |
SuperMassive E10000が最大96コアを搭載可能なのに対して、SuperMassive 9000は32コアと24コアの計3モデルを用意している。また、筐体は1Uサイズと、4UのSuperMassive E10000よりだいぶコンパクトだ。ニュースリリースには「従来のSuperMassive E10000シリーズと比べて、同程度の防御力を持ちながら、コア数とスループットの速度、TCOなどを企業向けに最適化」とあるが、実際、スペック表を見比べると「同程度」という表現はそれほど大げさなものではない。
SuperMassive 9000シリーズの主な仕様 |
96コア搭載のE10800にはもちろん及ばないものの、例えば48コアのE10400と32コアの9600を比較すると、ファイアウォールスループットについては20Gbpsで同じ、IMIXスループットとVPNスループットでは上回る。このほかのスペックは概ね下回っているが、省スペース性や省電力性を確保しながら、同時にエンタープライズ向けとしてできるだけ高い性能を追求した製品といえそうだ。
SuperMassive 9000シリーズの主なスペック |
「サーバーへの侵入は28%に過ぎない」
また、アイラペトフ氏は最新のセキュリティ動向についても語ったが、そのなかで「興味深い数字がある」と次の話を披露した。2012年にデルソニックウォールの次世代ファイアウォールは、6827億回の侵入行為をブロックしたが、「このうちサーバー上で起こったものは28%に過ぎず、26%はクライアントを対象にした侵入だった」という。
「侵入防御というと、サーバーの防御の話が中心になる。しかし実際には、まずラップトップに侵入し、そこから組織内のサーバーに入り込んでいくというケースが多いのだ」
データセンター内のサーバーはもちろんのこと、ブランチオフィスなどにあるクライアントもしっかり守る必要があるということだ。この点、SMB市場からSuperMassiveのような大規模向けにも発展してきたデルソニックウォールは、ラインナップの広さも特徴。「我々は、小オフィスやエグゼクティブの自宅まで同じレベルのセキュリティを適用していくことができる。また、1つのマネジメントコンソールで一元的に管理可能だ」とアイラペトフ氏は話した。
デルソニックウォール製品のラインナップ |