アカマイ、クラウド基盤の適用領域拡大 クラウドVPU“初”提供も

アカマイは、クラウドプラットフォームの最新動向を紹介するメディアブリーフィングを開催。エンタープライズ向けKubernetes基盤「LKE Enterprise」や、AI推論処理への最適化、クラウドでのVPU(ビデオプロセッシングユニット)の提供開始などを通じて、同社のクラウド戦略の現況と適用領域の広がりを具体的に紹介した。

VPUをクラウドで“初”提供

動画処理の効率化に向けた取り組みとして、Akamaiはメディア処理専用ASIC「NETINT Quadra T1U VPU」のクラウド提供を開始。VPU(ビデオプロセッシングユニット)を商用クラウドとして提供するのは、Akamaiが初めてだという。

「NETINT Quadra T1U VPU」の仕様

「NETINT Quadra T1U VPU」の仕様

H.264/H.265やVP9といった主要コーデックに対応し、従来のGPUに比べて1/10のコストで処理可能。専用チップによるリソース最適化により、処理性能と経済性を両立するとした。

“仮想待合室”や動画配信プラットフォームで活用

AkamaiはサービスをIaaSとして提供しているが、「SaaSライクに活用するためにパートナーと連携している」(アカマイ・テクノロジーズ シニアテクニカルソリューションアーキテクトの金児仁史氏)。金児氏は、「Qualified Compute Partner(QCP)」と呼ぶパートナーとの取り組みとして、4社の最新事例を紹介した。

アカマイ・テクノロジーズ シニアテクニカルソリューションアーキテクトの金児仁史氏

アカマイ・テクノロジーズ シニアテクニカルソリューションアーキテクトの金児仁史氏

1つは、ECやチケット販売サイトなどへのアクセス集中時に、一時的にユーザーを待機させる仮想待合室の仕組みを提供する「Queue-it」。格安航空会社のPeach Aviationでは、1週間ほどで導入を完了し、セール時にもユーザー体験を損なうことがなかったという。EdgeWorkers(アカマイのエッジ上でJavaScriptを実行できるサーバーレス環境)との併用により、サイト容量を変更せずに負荷調整が可能となり、システムの安定性とユーザー体験を両立したという。

Peach Aviationへの「Queue-it」導入事例

Peach Aviationへの「Queue-it」導入事例

また「Cloudinary」は、高画質動画をアップロードするだけで、ブラウザや通信環境に応じて最適なフォーマットに変換して配信する動画最適化ソリューション。最終的な配信はアカマイのCDN経由で行われる。

また、軽量かつ高速なバイナリ形式「WebAssembly」に対応した関数実行環境をアカマイのネットワーク上で実行可能にする「Fermyon」、ライブ・オンデマンドを問わず動画配信を一元的に行えるプラットフォーム「VOS360」の事例も紹介された。

製造業でのエッジ活用に期待

Jenkins氏は、アカマイのソリューションがエンターテインメント業界やEC業界で活用される一方で、今後は製造業での利用拡大も見込む。「(工場などの)個別拠点を多数持つ企業では、すべての拠点が大規模データセンターに接続できるわけではない。エッジへのオフロードが大切になる」と展望を語った。

 

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