「VoLTEはキャリアの競争力向上につながる」 ノキアシーメンス ホンギスト氏

8月に韓国と米国でVoLTEによる初の商用サービスがスタートした。携帯インフラ世界2位のノキアシーメンスネットワークス(NSN)でVoLTEを担当するユッカ・ホンギスト氏に、この新しい技術の可能性を尋ねた。


――8月8日、韓国のSKテレコムとLGU+、米国のメトロPCSコミュニケーションズの3社がVoLTEによる電話サービスをスタートさせました。VoLTEではどのようなサービスが提供されるのでしょうか。

ホンギスト VoLTEは、LTEネットワーク上で展開されるIMSをベースとしたVoIPシステムです。LTEはパケット交換だけで、回線交換の機能を持っていませんから、スマートフォンを導入しようとすると、何らかのLTEボイスソリューションが必要になります。VoLTEはその最終形と位置付けられます。

VoLTEの大きな特徴の1つは、現在の携帯電話の音声通信で実現されている機能が、ほとんどそのまま実現できることです。例えば、OTT(Over The Top)のIP電話では不可能な緊急番号への発呼や呼び返しにも対応できます。

VoLTEとRCS導入に動き

――現行の携帯電話に比べ、料金は安くなるのでしょうか。

ホンギスト 携帯キャリアは、VoLTEと既存の音声サービスを区別していません。現行の料金を維持したいと考えているのです。

ヤンキーグループの予測では、2016年時点でも携帯キャリアの売り上げの過半は音声サービスから得られると見ています。携帯キャリアにとって、この分野で収入を維持することが重要なのです。VoLTEはサービスをよりリッチにすることで、これを実現できる可能性を持っています。

例えば、韓国では新コーデック(AMR-WB)による高音質の通話がサービスの売り物になっています。VoLTEでは音声だけでなくビデオによる通信も可能です。さらにVoLTEと共通の技術を用いて、ファイルシェアリングやプレゼンス、マルチメディア通信などを提供するRCS(Rich Communications Suite)を導入しようとする動きも出てきています。接続時間が短縮されることもユーザーにとって大きな魅力になると思います。

VoLTEでは、現在の電話サービスより周波数利用効率が向上しますし、音声とデータ通信を統合することでOPEXの削減も期待できます。中長期的には、これらがコスト競争力の強化につながるはずです。

――LTEスマートフォンでは、日本でもCSFB(Circuit Switched Fall Back)技術による電話サービスが提供されています。これとVoLTEはどういう関係になるのですか。

ホンギスト LTEはすでに45カ国89の通信キャリアで商用化されていますが、そのほとんどはまだエリアが狭く、VoLTEだけでは電話として十分なサービスができません。そこで過渡的なソリューションとして、音声通信を2G/3Gの回線交換に委ねるシステムが実用化されています。CSFBもその1つです。

CSFBでは、待ち受け時にはLTEのネットワークに接続されていますが、電話が着信した際にはMMEを経由してページング信号が端末に送られ、LTE網から2G/3G網へハンドオーバーされます。W-CDMA/HSPAを導入している通信キャリアは、多くがCSFBを採用すると見られます。

CSFB以外にも、ベライゾンなどのCDMA2000キャリアで2010年から導入されているSVLTE(Simultaneous CDMA Voice and LTE data)があります。SVLTEではCSFBと同様、音声通信を3G(CDMA2000)で行うわけですが、LTEのエリア内では常時LTEとCDMA2000の2つのネットワークに接続される点が違っています。

月刊テレコミュニケーション2012年11月号から転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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