NTTドコモ岩崎副社長インタビュー「LTEの100Mbps高速化で引き離す」

「iPhone 5」が話題を集めるなか、10月中旬にNTTドコモが冬モデルを発表した。スマートフォン9機種すべてをLTEサービス「Xi」対応にするとともに、下り最大100Mbpsまで高速化する。強みとしてきたネットワークは、通信障害が続いたが、岩崎副社長は「地道な取り組みを重ねていく」と信頼回復に意欲を見せる。

――KDDIとソフトバンクモバイルから「iPhone 5」が発売され、人気を集めています。ドコモはiPhoneを取り扱っていないことで、大きな影響を受けているのではありませんか。

岩崎 iPhone 5は発売直後ということもあり、その影響を分析するまでには至っていませんが、これまでのところ総販売台数(新規と機種変更を含めた数字)では決して売り負けていません。月ごとに変動はありますが、概ね50%以上の総販売台数を確保していることから、我々も魅力的な端末を供給できていると思っています。

――とはいえiPhoneがないことが、MNPを利用した流出が続いている要因であるように見えます。

岩崎 iPhone 4S発売時の分析では、iPhoneを目的とした移行は2割程度にすぎませんでした。移行理由で最も多かったのが「端末の価格が他社の方が安いから」というものです。

例えばiPhoneの16GBはゼロ円で販売されており、競争が激化しています。また、若い人の間では「友人と同じものを選べば安心」「周囲と同じ機種ならわからないことを教えてもらえる」といった理由もあってiPhoneがじわじわと広がっています。

その結果、家族ごと移行されてしまう可能性も否定できないため、「家族セット割」を導入し、訴求に力を入れています。家族セット割開始後のアンケートでは、「一家全員の端末が割り引きになるから購入した」との回答が6割以上あったので、一定の認知もされているようです。

NTTドコモ 岩崎副社長

――iPhoneで好調のKDDIやソフトバンクモバイルにどのように対抗していきますか。

岩崎 我々にとって何が“アゲインスト”なのかと言うと、ポートアウトが多く、結果として純増が十分に取れていないことです。従って、ポートアウト戦略が重要になってきます。ポートアウトというのは、ドコモのお客様が他社に移ってしまうことですから、ある意味、守りの戦略になることも事実です。

現在、最もお客様に訴求しようとしているのが、LTEサービスの「Xi」です。iPhone 5の導入で他社もLTEサービスを開始しましたが、我々は2年早くサービスを開始しており、先行者メリットを活かしたいと考えています。

月刊テレコミュニケーション2012年11月号から転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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岩崎文夫(いわさき・ふみお)氏

1977年3月早稲田大学大学院理工学研究科電気工学専攻修了。同年4月日本電信電話公社入社。89年10月日本電信電話株式会社ネットワーク総合技術センタ担当部長。93年7月エヌ・ティ・ティ移動通信網設備部担当部長。99年3月設備建設部次長。99年6月エヌ・ティ・ティ・ドコモネットワーク建設部長。2005年6月執行役員ネットワーク企画部長。08年7月執行役員九州支社長。2010年6月取締役常務執行役員ネットワーク担当。2012年6月代表取締役副社長マルチメディアサービス、ネットワーク、技術担当、現在に至る

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