――KDDIとソフトバンクモバイルから「iPhone 5」が発売され、人気を集めています。ドコモはiPhoneを取り扱っていないことで、大きな影響を受けているのではありませんか。
岩崎 iPhone 5は発売直後ということもあり、その影響を分析するまでには至っていませんが、これまでのところ総販売台数(新規と機種変更を含めた数字)では決して売り負けていません。月ごとに変動はありますが、概ね50%以上の総販売台数を確保していることから、我々も魅力的な端末を供給できていると思っています。
――とはいえiPhoneがないことが、MNPを利用した流出が続いている要因であるように見えます。
岩崎 iPhone 4S発売時の分析では、iPhoneを目的とした移行は2割程度にすぎませんでした。移行理由で最も多かったのが「端末の価格が他社の方が安いから」というものです。
例えばiPhoneの16GBはゼロ円で販売されており、競争が激化しています。また、若い人の間では「友人と同じものを選べば安心」「周囲と同じ機種ならわからないことを教えてもらえる」といった理由もあってiPhoneがじわじわと広がっています。
その結果、家族ごと移行されてしまう可能性も否定できないため、「家族セット割」を導入し、訴求に力を入れています。家族セット割開始後のアンケートでは、「一家全員の端末が割り引きになるから購入した」との回答が6割以上あったので、一定の認知もされているようです。
――iPhoneで好調のKDDIやソフトバンクモバイルにどのように対抗していきますか。
岩崎 我々にとって何が“アゲインスト”なのかと言うと、ポートアウトが多く、結果として純増が十分に取れていないことです。従って、ポートアウト戦略が重要になってきます。ポートアウトというのは、ドコモのお客様が他社に移ってしまうことですから、ある意味、守りの戦略になることも事実です。
現在、最もお客様に訴求しようとしているのが、LTEサービスの「Xi」です。iPhone 5の導入で他社もLTEサービスを開始しましたが、我々は2年早くサービスを開始しており、先行者メリットを活かしたいと考えています。