<特集>ローカル5G 10大注目トレンド工場ローカル5Gの今後 低ジッター化で「自動搬送」から「生産ライン」へ

ローカル5Gの“本命”と言われてきた製造業DX──。AGV等の自動搬送機の制御から活用が始まったが、低遅延・低ジッター性能の実現も見えてきたことから、生産ラインへの適用も近付きつつある。

設備の老朽化や人手不足、多品種少量生産への対応、グローバル競争の激化によるコスト削減圧力など、日本の製造業を取り巻く環境は厳しい。

ローカル5Gはこうした課題解決に貢献する手段として、登場当初より製造業から期待されてきた。Wi-Fiと比べると1台の基地局で広範囲をカバーでき、干渉の怖れも少ないので安定的な通信が可能。また、多数のデバイスを同時に収容できるという特徴は、広大な敷地に多数の設備を持つ製造業の現場でこそ活かされる。

製造業で先行して取り組まれているのが、AGV(自動搬送車)やAMR(自律搬送ロボット)などの搬送機器のローカル5Gを介した制御だ。人手で行っていた搬送作業をロボットで自動化することで、人手不足解消や生産性向上を図れる。

例えばNECプラットフォームズの掛川工場は、2023年8月に竣工した新工場にローカル5Gを活用した自動搬送システムを導入した。複数のAGV/AMRの同時制御などを行い、事業所全体の生産効率の向上を目指している。

またシスコシステムズは、三井情報、KDDIエンジニアリングと共同で、FAシステムを手掛ける商社・進和が愛知県小牧市に開設したラボにローカル5Gを整備したことを2024年2月に発表(図表)。AGV/AMRのシームレスな無線切替などの実証を進め、現場ニーズに応えようとしている。

図表 進和小牧SFiCラボでのローカル5G活用コンセプト

図表 進和小牧SFiCラボでのローカル5G活用コンセプト

作業工程を撮影した映像をAI解析し、作業ミスの発見や作業員の動作改善に用いて、生産性の向上に結びつけるというソリューションもOKIやNECなど様々なベンダーから登場している。IDC Japan Software&Services リサーチマネージャーの小野陽子氏は「詳細なデータを収集するため、作業現場に設置するカメラの台数を増やしていくと、映像のデータも大きく増えていくが、そこで高速大容量のローカル5Gの特徴が活きる」と言う。

続きのページは、会員の方のみ閲覧していただけます。

RELATED ARTICLE関連記事

SPECIAL TOPICスペシャルトピック

スペシャルトピック一覧

NEW ARTICLES新着記事

記事一覧

FEATURE特集

WHITE PAPERホワイトペーパー

ホワイトペーパー一覧
×
無料会員登録

無料会員登録をすると、本サイトのすべての記事を閲覧いただけます。
また、最新記事やイベント・セミナーの情報など、ビジネスに役立つ情報を掲載したメールマガジンをお届けいたします。