WANが劇的に高速化される仕組みを理解する
では、WAN高速化装置は、どのような仕組みでWANを高速化するのだろうか。リバーベッドの寺前滋人氏によると、使われている技術は主として以下の3つだという。
リバーベッドテクノロジー シニアテクニカルコンサルタント 寺前滋人氏 |
(1)データの重複排除
1つめは、いわゆるキャッシュ技術である。一度受け取ったデータをWAN高速化装置のストレージ内に保存。次に同じデータへの要求があったときには、そのキャッシュされたデータを使うことで、WANに流れるデータ量を減らす技術だ。
例えば、大阪支社にいる社員Aがデータセンターのファイルサーバーにアップロードされたばかりの新製品資料をダウンロードしたとする。次に、大阪支社にいる別の社員がダウンロードするときには、すでに大阪支社のWAN高速化装置にキャッシュされているから瞬時にダウンロードできる。
このデータの重複排除という技術は、WAN高速化装置の中にデータが蓄積されればされるほど大きな効果を発揮する。逆にいえば、どれだけ多くのデータを貯められるかも重要なポイントになるが、そのためリバーベッドのSteelheadでは「ユニバーサルデータストア」という仕組みを採用している。通信を行うピア(接続拠点)毎やアプリケーション毎にパーティションを分けてデータをキャッシュするのではなく、1つの大きな入れ物にすべてのデータを入れて共用するというものだ。
図表2 ユニバーサルデータストアとピア毎のデータストア |
(出典:リバーベッドテクノロジー) |
「他社のWAN高速化装置の場合、ピア毎やアプリケーション毎にパーティションを切っているケースが多く、同じデータをいくつもキャッシュする。そのため、Steelheadとはキャッシュデータの有効期間が大きく違ってくる」と寺前氏は話す。
図表3 データのストア日数の差によりWAN高速化の効果にも大きな違い |
(出典:リバーベッドテクノロジー) |
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